第65話 SSダンジョンクリスマスイベント?

「ご主人」


「なんだ」


「今日は、くりすますとかいうやつじゃにゃいのか?」


「ああ、そうだ。正確にはクリスマスイヴだがな」


「で、お祝いするのかニャ?」


「お祝いとはちょっと違うが、いいもの食ったりはするぞ」


「わーいなのにゃ」


「あ、先輩、美剣みけちゃん、ちょっとこれ見てくださいな」


「ん(にゃ)?」


「クリスマス限定で、ダンジョンにポップする魔物がいるらしいですよ! レアドロップがおいしいらしいです!」


 探索者専用サイトには、クリスマス限定ポップの魔物情報が載っている。

 そのページは、まるでなんかのネトゲのイベント紹介のようだ。


「どのダンジョンでも出るのかな?」


「出る所と出ないところがあるみたいですね。運に左右されるのでは、とも書いてます」


「じゃあ、うちは美剣がいるから大丈夫だな」


「にゃー、がんばるにゃー」








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「なんだありゃ」


「トナカイ……なんでしょうか……」


「にゃー、犬野郎が着飾ってもかわいくないのにゃー!」


 目の前には灰色狼。

 しかし、いつもと様相が違っている。


 トナカイみたいなお飾りをつけた灰色狼が、こちらに向かって突進してくる。


「トナカイさんって、倒してもいいのかしら……」


「だまされるな。あれは魔物だ」


「犬野郎は死すべしにゃ」


 美剣がトナカイ? を瞬殺する。


「なんか落としたニャよ?」


「これは……モモ肉?」


「犬の肉なんて食いたくないニャ」


「いや、今日と明日は魔物の種類に関係なく、トリモモがドロップするって書いてましたよ?」


「ダンジョンって……なんなんだろうな。レアドロップがおいしいって、そっちの意味かよ……。」


「にゃー! トリニクなのニャ―!」


「とりあえず、人数分は確保しようか」


「はいにゃ!」









◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「なんだありゃ」


「サンタさん……なんでしょうか……」


「にゃー、犬面いぬづら野郎が着飾ってもかわいくないのにゃー!」


 目の前にはコボルド。

 しかし、いつもと様相が違っている。


 サンタさんみたいな衣装を来て、白い袋を持ったコボルドが、こちらに向かって袋を振り回してくる。


「サンタさんって、倒してもいいのかしら……」


「だまされるな。あれは魔物だ」


「犬面野郎は死すべしにゃ」


 美剣がサンタさん? を瞬殺する。


「なんか落としたニャよ?」


「これは……クリスマスケーキですね?」


「もうわかった。皆まで言うな。」


「今日明日は魔物の種類に関係なく、ケーキもドロップするっても書いてましたからね……」


「ダンジョンって……なんなんだろうな。レアドロップが……以下略だな。」


「にゃー! ケーキなのニャ―!」


「とりあえず、人数分は確保……ホールケーキは一個で十分だな」


「はいにゃ」




 この日、全国のダンジョン関連の小売店ではダンジョンモモ肉とダンジョンケーキが爆売れし、既存の精肉販売店とお菓子屋さん、デパートや百貨店の売り上げが打撃を受けたとの報道がなされるのだった……。







「もっとゲットして売ればよかったんじゃにゃいかな?」


「探索者センターまで遠いし日持ちもしないから面倒だ」


「にゃ。」


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