第66話 発情期?

【アンデッドの汚れも臭いも良く落ちます】


「先輩、この洗剤買いましょう」


「ああ、石鹸とシャンプーもセットで」


「ペット用もあるのかニャ?」

 

 探索者専用サイトのネットショップのページを見ている。ここでは日本全国の探索者支援センターにある在庫が取り寄せられる。

 各地のダンジョンでは同じ魔物からでもレアドロップ品が異なるものもあり、そのダンジョンでしか出ないものとか、その地方独特のものなどもあるので、各都道府県及び政令指定都市等のセンターごとに買取するものも異なり、自然、販売している内容も各センターごとに特色があるのだ。


 この石鹼類は北海道のダンジョンからドロップするらしい。まあ、たしかに牛のマークがついた石鹸は有名だが、なぜに北海道限定ドロップなのだろう? なんか恣意的なものも感じるダンジョンの不思議さよ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「お、今度は普通の奴だな」


「腐ってなくてよかったのにゃ」


「もう体を何回も洗うのは嫌ですからね……」



 

 今日もまたまたダンジョン攻略中。


 玄室でエンカウントしたのは普通のコボルドくさってないやつだ。だが、数がおかしい。9匹のが4グループ。計36匹だ。某ゲームでは一度に出てくる最大の数ではなかろうか?


「『挑発プロヴォケーション!』」


「『殺陣たて!』」


「『にゃーニャー!』」


 美剣みけの技名が謎だが、それぞれ全力全開だ。

 オレは敵を引き付け、それに気を取られた敵をマナミサンが流れるように打ちのめし、美剣が首を刎ね飛ばす。


 多少の時間はかかったものの、とくに危ない場面もなく敵を全滅させる。やっぱり美剣が戦列に入ると安定感がぐっと増すな。


「お!? キタコレ!」


「わたしもです!」


「美剣もニャ!」


 どうやら、全員一度にレベルアップしたようだ。オレとマナミサンはレベル3、美剣は確かこれでレベル6だったか。美剣よ、強いはずだぜ。


「新しい技かなにか覚えたか?」


「はい、まだはっきりイメージできませんけど、出来ることが増えたような感覚があります!」


「そっか、オレもだ。なにか出来そうなんだが、その何かがまだわからない。たぶん、戦闘の時とか、必要な時とかに頭の中にイメージが流れるんだろうな」


「そうだと思います! 美剣ちゃんは?」


「……邪魔にゃ」


「「?」」


「にゃー! こんなの着てると邪魔なのにゃー!」


 そう言うと、美剣は着ていた合成プラスチック製のフルアーマースーツやフェイスガードを脱ぎ捨てる。


「美剣ちゃん? 発情期ですか?」


「違うニャ!」

 

 小ぶりな胸をぷるんとふるわせながら、あっという間におパンツ一枚の姿になってしまったのだった。




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