第67話 真奈美の職業

「にゃー、これで戦いやすくなったのにゃー!」


 おパンツ一丁で、小ぶりな胸をふるわせて美剣みけが叫ぶ。


「なぜいきなり脱いだ?」


「にゃんか、ラベルが上がったら防具? ってのが急に邪魔に感じたニャ。」


「そんな事って……あ!」


「先輩? 思い当たる事でも?」


「ああ、あれだ、忍者のACアーマークラス


「あーまーくらす? ですか?」


 美剣の職業があのゲームの忍者の設定に引っ張られているのであれば、忍者はレベルが上がれば俊敏性が増し回避力が増すという設定で、下手な防具を着けているよりも生身のほうが防御力アーマークラスが上がる(数値は下がる)のだ。


「おそらく、素の防御力が、その防具プラスチックアーマーのを上回ったんだろう。だから、突然邪魔に感じたんじゃないか?」


「なるほど、じゃあ、これから美剣ちゃんはそれおっぱいをプルンプルンさせながら戦うんですね?」


「猫は全裸がデフォですニャ」


「いや、その設定はもういいから、なにか着ような? そのままだとアンデッドの汁を生身で浴びることになるぞ?」


「じゃあ、裸に透明なレインコートなんてどうでしょう?」


 マナミサン、ニッチな趣味はやめてくれ。


「おパンツも邪魔ニャ」


「いや、防具はともかく、全裸じゃなくても普通の服なら大丈夫なはずだぞ?」


 ゲームの設定でも全裸で戦うなんて聞いたことはない。おっさんの忍者だったらどうするんだ! 味方全員戦意喪失するわ!


 ということで、美剣の衣装? は、ビキニアーマーとかマイクロビキニとかの提案もなされたが、結局はマナミサンが小学校時代に着ていた半袖体操着とブルマーに落ち着いた。田舎おそるべし、まだブルマーがあったとは……。ちなみに体操着の下はノーブラぷるんぷるんである。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 次の玄室。


「あっちゃー、またこいつらか」


「くさいのにゃ」


 またまたコボルドアンデッド。魔石はコボルドとほぼ同じ買取価格なのだが、レアドロップがなくおいしくはないし臭いしで嫌な相手である。

 

 ちなみに美剣の体操服は、マナミサンが一旦家に戻って持ってきていたので、今の美剣は裸ではない。というかマナミサン、なぜおいらの家に昔の体操着を持ち込んでるの?


 「あ、きました! イメージが!」


 お、マナミサンの新技発動か?


 なにがでるんだろう?


 うーん、マナミサン最近変態度増してるからなー、『奇面フラッ〇ュ』とかじゃないだろうな?



「『ファイアー!』」


 おお、魔法だ! 

 

 メ〇でもハリ〇でもないファイアーだ。


 火魔法でアンデッドは良く燃える。一発で一匹が確実に仕留められていく。

 次々と火魔法を繰り出し、6匹ほど倒したところでマナミサンが「打ち止めです」と告げる。


 そうじゃないかとは思っていたが、どうやら確定だな。

 

 刀に適性を持ち、そして攻撃魔法を覚える。


 マナミサンの職業は、「さむらい」だな。

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