第69話 着信あり
アンデッドコボルドを撥ね飛ばし、ベコベコにへこんだ軽トラのフロント部分が無事修復された。
ダンジョンの発生時に、軽トラと一緒に巻き込まれていた車庫のコンクリート床。これもまた【異質化】していたことが判明し、その効果は破損した軽トラを修復してくれる
「車庫の床まで【異質化】するんですね~。不思議です。」
「ああ、たぶん建造物の一部が【異質化】したって例は世界でもほとんどないんじゃないのかな? まあ、そもそも
「にゃー、謎が多いですのにゃ」
「一番の謎のお前が言うな」
「にゃー」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
とりあえずは、無事に軽トラが治った? 直ったので、攻略を再開する。
現在地はいまだに地下の1階層。もっとも浅い階層だ。
この階層の探索も、すでに半分ほど終えているとは思われる。疑問形なのは、マッピングはしているのだが、階層全体の広さがまだ判別していないからだ。
これまでに攻略した玄室を、一つ一つ再度確認しながらポップする魔物を倒し、
いつもと同じように攻略を進め、軽トラに乗ってダンジョンの通路を進んでいると、突然、オレのスマホの着信音が鳴り始めた。
「……知らない番号だな。詐欺とかだったら嫌だから出ないで無視しよう」
そう言ってオレはスマホをインナーのポケットに仕舞い直した。のだが、なんだか違和感が否めない。
「あれ? 先輩? ダンジョンの中って、スマホとか使えないんじゃなかったですか?」
「!」
そうだ! 今はダンジョンの中。
ここでスマホが鳴るなんてありえない!
「なんで? なぜ? ホワイ? スマホが使えるんだ?」
オレは仕舞ったスマホをもう一度取り出し、確認すると電源が入っている。本来は電源すら入らないはずなのに。そう思いながら無料通話アプリをタップする。
「真奈美、今スマホ持ってるか?」
「はい。一応は。」
もしかしてと思い、スマホを使ってマナミサンにメッセージを送ってみる。すると、
ピロリン♪
「わたしのも……使えますね。」
「ご主人、美剣にもメッセージほしいのにゃ」
「おまえスマホ持ってないだろ」
「にゃー、スマホ欲しいのにゃー」
お前は外に出たらネコの姿なはずだが? ネコがスマホを持つなんてどこのネコ型ロボットだ。肉球でタップとかできるのかな?
それに人型になれるダンジョンの中だとスマホは使えない。はずだったのだが――。
まあ、美剣は稼ぎ頭だから、ダンジョン内でスマホが本当に使えるんだったら買うのはやぶさかではない。もし攻略中にはぐれた時とかスマホが使えると便利だからな。こんど買ってやろう。
だが、
『なぜ、ダンジョン内で使えないはずのスマホが使えるのか』
この疑問を解いてからだ。
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