第47話 あとしまつ
アレはダメだ。ナニがダメなのかって? 例のスライムのレアドロップだ。
味方への
敷物類はみんなぐちゃぐちゃで洗濯機行き。大きくて洗濯機に入らないものはマナミサンが車でコインランドリーに運んで行った。
男女の営み事後のモノを公共の場にもっていくなど何の羞恥プレイだと思っていたが、なんか頬を上気させているマナミサンにかなり引いた。そのコインランドリー、出禁にならないだろうか? いや、それよりも妙な色気で変な男に絡まれたりしないだろうか? まあ、車には竹刀も積んでいるし、ネコカゴに入って
と、まあ、洗濯機で洗えるものはいいのだ。
洗濯機で洗えないもの、それは軽トラ本体だ。
荷台がぬるぬるとすべるすべる。このままではダンジョン攻略で魔物が出た時に荷台から飛び出すなんてできやしない。滑って転ぶのがオチだ。とても危険で魔物との戦闘なんてできやしない。
せめて、軽トラをダンジョンから出すことが出来たなら近所の洗車機のあるガソリンスタンドにも行くのだが、あいにく出口が狭くて軽トラを外に出すことはできない。
その結果、外の車庫からバケツに一杯ずつ水を汲んではダンジョンに持ち込み、カーブラシとカーシャンプーで地道に洗う作業がオレを待っていたのである。
最初、ホースをつないでダンジョン内まで持っていったのだが、元にある蛇口から水は出てるのだがダンジョンの謎現象でホースの先から水が出てこないのだ。
バケツに入れた水なら問題なく入口を通れるのだが、おそらくはダンジョンとの境を超えるときにホース内の流水は流れる運動エネルギーごとどこか別の位相に飛ばされているのではないだろうか。
このまったく理論も理屈もわからない現象と、何度こすっても落ちないスライムのぬるぬるによってオレは何十回とダンジョン入り口の階段を往復し、バケツの水を運びまくる羽目になったのである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はあ、疲れた」
「ご主人。なんでそんなに疲れてるのにゃ?」
「かくかくしかじかだ」
「それはごくろうだったにゃ」
「先輩、お疲れ様でした。」
……なぜそれで通じる? もしかして、絆を結んだ恩恵がダンジョン外でも適用されているのか……!
「いや、単にご主人がバケツを持ってダンジョンに何回も入っていくのを見てたからにゃ」
「帰ってきてたなら手伝ってくれよ……」
「わたしはネコだからバケツ持てないニャ」
「ぴゅー、ひゅー」
マナミサン、口笛鳴ってないぞ。
「だって、腕が太くなると先輩に嫌われるじゃないですか?」
うん、マナミサンの場合は腕の太さよりもねじれた性格の方を気にしような。
「それにしても、なんでけいとらをそとにだして洗わないのにゃ?」
「? だって、入口狭くて出せないだろ?」
「? いっつも思うんにゃけど、どうしてかたいっぽうの扉しか開けないのにゃ? もう一枚の扉も開ければもっと入口が広くなって、けいとらだって通れるにゃよ?」
にゃん……だと……?
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