第44話 軽トラの幌
「ダンジョンまんじゅうっておいしそうですね」
「にゃーにゃー(食べたいのにゃ)」
「じゃあ2箱買っていくか」
探索者支援センターのお土産コーナーにはなぜか観光地のようなお菓子類も売られている。
なんでも、私有地のダンジョンを観光資源化する持ち主もいるらしく、そんなところでの物販物としてここから仕入れていくそうだ。
なお、探索者でもなければここの支援センターには入れないため、ここで売られているものは一般の方にはそれなりの人気があり、私有地のダンジョンで販売すればすぐに売れていくそうだ。
それって転売だよな? しかし、国も税金が入るから『仕入れ』て『小売り』という形態で推奨しているらしい。値段の表記は小売りの値段で、ここで買う金額はそれよりも少し安いのだ。ま、それでも通常のスーパーで売っているものよりは数段高いのだが。
「ダンジョンカレーも買いましょうか?」
「にゃーにゃー(オーク肉の缶詰も欲しいのにゃ)」
「今日の夕飯は決まったな」
今回は、支援センターを見てみたいのにゃと言った美剣にセンターを見学させる目的もあったから、少しくらいのお土産は許容範囲だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その帰り道、県内でも売り場面積トップクラスの大きいショッピングセンターに寄っている。
ここは、ディスカウントショップとホームセンターが同居したような店で、エントランスでは軽乗用車も売られているような大規模店だ。おお、軽トラも売っているな。
ここでの目的は、軽トラの装備品や、その他もろもろを整えることにある。
先ずは幌。
現在装着している幌は、最もオーソドックスなもので横と天井が軽金属の支柱と布で覆われ、車両後部のみ、荷物搬入用に開く形になっている。
この形だと、ダンジョン内で軽トラに乗ったまま魔物にエンカウントした時に、荷台に乗っているメンバーはわざわざ荷台後部から降りて前に回っていかなくてはならず、その間魔物への視線も途切れてしまい、戦いずらいのだ。
なので、軽トラを路上販売用に使用できるような、側面が開くウイングタイプの幌を探しに来たのだ。
幌を外す案もあったが、もし魔物に囲まれた場合、いかに防御結界があったとしても生身で攻撃を受けるのはなんか怖い。それに、美剣やマナミサンと絆を結ぶとき、やっぱり天井があった方がコトに没頭できるという理由もある。
他には、コトを致す時の為に、背中が冷たくならないように荷台に敷く断熱シートとか、ダンジョン内で泊まったりする必要があった場合に備えてのテントとか寝袋とかキャンプ用品も欲しかったのだが、今回は予算の関係で断念する。ウイングタイプの幌は結構なお値段がして、今日の換金分が一気に吹っ飛んでしまったのだ。
なお、物干しざおはかさばるので地元のホームセンターで5本買った。
マナミサンの軽自動車には積めないため、前回同様配達をお願いした。
こうして、徐々にではあるが探索の装備や環境を整えていこう。
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