第41話 爆発
オレたちは探索を続けていた。
軽トラに乗って通路を往く。
オレとマナミサンのレベルアップのため、軽トラと
「よし、開けるぞ」
―なにものかにであった!―
「人間? いや、違う!」
「にゃー、嫌な臭いがするのにゃ!」
「首から上が犬ですね。コボルドってやつでしょうか?」
初めての人型モンスター。
これまで倒したことがあるのは、犬型の灰色狼とゲル状のスライムのみ。いつかはエンカウントするとは知っていたが、いくら魔物とわかっているとはいえ、人のカタチをしたものに容赦なく攻撃を加えるのは若干腰が引けてしまう。
「来るぞ!」
コボルドはその手に持っている薄汚れた剣で切り付けてきた!
オレは盾でその攻撃を受け止め――
「に”ゃあ”あ”あ”あ”—――――!!」
美剣が横から飛び出て、その首を撥ね飛ばした!
「どうした! 美剣!」
「ご主人ごめんにゃ。コイツの存在が許せなかったニャ」
なるほど、ネコミミを付けた少女である美剣にとって、犬顔でイヌミミを付けたこの相手は倶に天を戴けない敵だったというわけか。
「同族嫌悪ってやつか?」
「に”ゃ―――! 同族じゃないニャ! いくらご主人でもそれは許せないニャ!!」
「すまん、言葉を間違えた」
「わかってくれればいいのにゃ」
宝箱がドロップした。
美剣は、まださっきのコボルドとの邂逅で精神が昂っておられるので、罠の解除のような精密な作業は任せられない。なので、オレが盾に隠れて物干しざおで突っつくことにした。
「本当に物干しざおで宝箱を開ける日がこようとは……」
物干しざおは長く、それなりに重いので、先端の細かい操作が難しい。箱の蓋の部分を押し上げるようにし、蓋と箱の隙間に竿を滑り込ませる。
カチッ
何かに触れた音がした!
―おっと! ばくだん―
ドガーン
宝箱は爆発した!
マナミサンと美剣は、防御結界のある軽トラの荷台に乗っていたので無傷。
爆発の一番そばにいたオレは―
「ふう、ネットで盾操法学んでおいてよかったぜ」
オレも無傷だ。
まず、盾の下端をしっかりと地面にくっつける。そして、地面に半身になって横になり、盾に可能な限り角度をつけ、身体を盾の後ろに隠して爆風をやり過ごしたのだ。機動隊がデモ鎮圧の際に、爆弾による攻撃から身を守るときの操法らしい。
「にゃんかご主人、軍人みたいでかっこいいニャ」
「そうですね。今夜は盾のコスプレでしてもらいましょうか?」
おいおい、盾のコスプレってなんだ? 興奮する要素が一ミリも見当たらないぞ?
マナミサンの戯言を聞き流し、宝箱の爆発跡を確認する。
このダンジョンにゲーム的要素があるのならば、宝箱が爆発しても中身は手に入るはずだ。
そこには、試験管のような容器に入った黄色い色の液体が。
これ、解毒ポーションじゃね?
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