第39話 罠対策

 その後、玄室を2部屋程攻略し、狼とスライムを1体ずつ倒し、今日は探索を終える。宝箱は、先ほどと同じ要領で蓋を開け、罠無し1個と毒針1個、ドロップは魔石6個と、毛皮は1枚のみであった。


 今日の稼ぎは、だいたいで狼魔石が3個、スライム魔石が3個で合計で約1万2千円。毛皮は査定に出さないとわからんな。そのうち、狼一体のドロップ分は美剣みけが瞬殺したものだ。

 つまり、オレとマナミサンで稼いだのは約1万円。人数で割って、一人日給5千円だ。


「このままでは美剣だよりになってしまうな。オレたちももっと戦えるようにならなくちゃな」


「そうですね、先輩。もっと絆を育めばあるいは……」


「と、ところで美剣、お前は俺たちが講習に行っている間、たっくさん狼を倒していたけど、レベルアップとかしなったのか?」


「れべるですかにゃ? ああ、そういえば、美剣が強くなったにゃーって感じた時があったにゃよ」


「おお、何回くらい?」


「4回くらいかニャ? はっきりとは覚えていにゃいけど。」


「そうか。なんか、魔法とかは覚えなかったのか?」


「火を使うのは怖いから嫌にゃ」


「くっ……、本能的に火魔法は無理か……」


「寒いのも嫌にゃ」


「氷属性もダメなのか……」


「シャワーも嫌だにゃ」


「水属性もダメと。雷も苦手だろうし、こりゃ猫に魔法は望み薄だな」


 うーむ、美剣に属性魔法は生えないっぽいな。瞬発力とか、力アップとかの身体強化系に期待しよう。


「マナミサン……いや、まなみは? なんか変化あった?」


「先輩が近くに感じられた以外は特に変化はないですね」


「そうか、オレもだ」


 マナミサンもレベルアップは無しと。

 

 オレとマナミサンは地道に魔物を倒していくしかないか。




 あと、問題は宝箱だな。


「遠くから安全に開けられるように、支援センターに行って、柄の長い槍でも買ってくるか?」


「それなら、安くて長い物干しざおのほうがよくないですか?」


 うーん、軽トラに物干しざおを積んでダンジョンに突入する姿は「竹やさお竹~」をほうふつとさせるな。

 機械仕掛けのマジックハンドなんてダンジョン内では動かないし、子供のおもちゃみたいなそれだと精密な操作なんてできないしな……猿でも仕込むか? それとも、爆弾処理班がやるように液体窒素に漬けるか……現実的ではないな。ならば不発弾のように深海で爆発させるとか、いや、爆発させてどうするんだ。中身採れないだろうに。


 思考が変な方向に行って暴走してきたその時、


「ご主人」


「にゃんだ。いや、なんだ」


「気のせいかもしれにゃいけど、わたし、あの宝箱の罠の種類、どれも予想があたってたのにゃ」


「詳しく話せ」


「えーとにゃ、にゃんとなく、この箱には罠とかないって思ってたらほんとに罠はなくてー、何かあぶにゃい針がかくれていそうだなーっておもったら、毒の針だったのにゃ」


「おいおい、これってもしかして……」


 狼の首を一発で落として、宝箱の罠の種類を見破るだと……


 そんなことが出来る職業は―――!

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