第36話 アタック開始
いよいよ今日から武田家(笑)によるダンジョンアタックを開始する。
思えば、車庫にダンジョンが出来てからそんなに日にちは経っていないのだが、ここまでずいぶんと色んなことがあったものだ。
今、オレたちはダンジョン最初の玄室、軽トラのある部屋の中にいる。
「それにしても、ずいぶんと倒したもんだな」
軽トラの荷台の上には数える気もなくなるような数の魔石が詰まり、毛皮なんかはもはや幌の天井いっぱいまでびっしりと埋まっている。このままでは攻略に支障が出るので、オレが「収納」と言って荷台ストレージに収納しておく。
「叫べば犬野郎が出てくるニャ。だから、いっぱい叫んでいっぱい倒したニャ。」
オレとマナミサンが国家資格講習に行っている間、
「それで声が枯れ気味なのか?」
「いや、それは先輩が激しく攻め立てたか・ら・で・は?」
「ご主人は荷台の上ではワイルドだにゃ。
「ゲフンゲフン」
「あら、私の時も壊れるくらいにしていいんですよ?」
「さて、その話題はそこまでだ。」
これ以上その話を続けていては三つ巴の桃色格闘技がおっぱりはじまりかねない。今日はダンジョン攻略なのだ!
「さあ、扉を開けるぞ」
これまでは今いる玄室より外に出ることはなかったが、今日始めて、ダンジョンの奥の通路へと繋がっているであろう扉を開ける。
扉はそれなりに重厚な両開きで、開くのにはそれなりの力がいる。
「では、お前たち、」
「はい」
「にゃ」
「軽トラの荷台に乗れ」
「「はい?(にゃ?)」」
「軽トラに乗ったまま扉を押し開ける。」
「なんか、思ってたダンジョン攻略と違うニャ」
「わたしはまたてっきり、これから荷台の上で抱かれるのかと思ってしまいました」
「いや、攻略するから! 安全地帯の軽トラの荷台に乗って、安全策で攻略するから!」
そう言って、オレは軽トラの運転席に座り、エンジンをかけて扉に向かって前進する。
最初は、オレが荷台に乗ってマナミサンに運転してもらおうかと思っていた。なぜなら、魔物が現れた時、盾使いであるオレが真っ先に敵に向かうのには、運転席からだとタイムロスが大きいからだ。
だが、マナミサンはいわゆるオートマ免許所持者。マニュアルミッションのこの軽トラを運転することが出来なかったのだ。
「私だって……半クラッチさえできれば……」
まあ、ここは公道ではないので免許がなくても運転できるのだが、いかんせんエンストばっかりこいていては車も攻略も前に進まない。
「いくぞー、敵がいるかもしれないけど、軽トラの中は安全地帯だから、あせらず行こうぜー」
「おー」
「にゃー」
こうして、通常とは全くかけ離れたダンジョン攻略がゆるーい感じで始まった。
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