第32話 講習会仲間
後半の実技講習が終わった。
3日間という期間、VRでの模擬戦でランダムにパーティーを組んだ結果、参加者の中には打ち解けて会話を交わすような相手も出てくるものである。
「よかったら、おれたちとパーティーを組みませんか?」
オレにこんな誘いをかけてきたのは、大学卒業1年目のさわやかイケメンな
なんでも、晴田市内の私有ダンジョンで探索者パーティーの一般募集が出ていたので、思い切って仕事を辞めて探索者としてやっていこうとしたところ、彼女と妹も賛同して一緒に活動することにしたのだとか。
3人とも弓道部に所属していたらしく、得意の得物は全員弓。たしかに偏っているので、大盾を使うオレが入ればそれなりにバランスがとれるだろう。ちなみに、陽介君と御園さんは高校の弓道部時代お互いに男女の主将を務めており、それが縁で交際に発展したのだとか。青春だねえ~。
「ああ、ありがたい話だけど、オレは
「え、ダンジョン持ちなんですか!? なら、おれたちも今度潜らせてくださいよ!」
「ああ、だけど、まだ見つかったばっかりだから、少し様子を見てからでないと、他の人はまだ入れられないかな……ハハハ」
ウチのダンジョンに来られたら
「そうですか。残念ですけど仕方ないですね。なら、連絡先の交換させてくださいよ!」
「ああ、もちろん」
お誘いはお断りしたが、正直パーティーを組めるというのは魅力的だ。
オレと
まあ、もし陽介君たちと探索者仲間のようになって、秘密を守ってくれるような信頼関係を築くことが出来たのなら、という可能性を考えたなら、ここで連絡先の交換くらいはむしろ望むところだ。
そうして、陽介君と無料通話アプリの連絡先を交換していたところ、
「ねえねえ、いいじゃないっすか! あっしらと一緒に組みやしょうぜ~! 絶対いいカンジになりますから~!」
おっと、なにやらマナミサンが4人組の若い男性たちに勧誘? ナンパ? されているぞ。
「私、人妻ですので。」
「「「「え~!」」」」
おいおい、いつあなたは入籍したんだい? って、人妻ってパーティーを断る理由になるのかい? しかもこっちに歩いてくるし。4人組もなぜかついてきてるし!
オレも男として何か言わなきゃいけないのか? でも、オレたち夫婦とかじゃないんだけど、なんて言えばいいのかな?
「こちらの方が旦那さんですかい?」
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