第26話 レアドロップ
オレはしきりに挑発してくる人間姿の
美剣は大量の狼をやっつけたらしく、実に魔石の数は96個を数えた。倒しすぎでは?
まあ、それはいいのだ。魔石は、魔物を倒すと必ずドロップする。つまり、魔石の数は、イコール魔物の討伐数である。
おかしいのは、もう一つのドロップ品、毛皮の数である。
灰色狼を倒して得られる毛皮は、いわゆるレアドロップというやつなのだ。そのドロップする確率は、今も世界中で検証されている最中なのだが、いわゆるレアドロップと呼ばれるものは、いくらドロップ率が高い物でも1割を超えることはないはずなのだ。
それなのに、毛皮の数が54枚。単純計算でも5割を超えているのだ。明らかに異常な数値だ。
そういえば、オレがピンチになったあの時も、一発目で毛皮がドロップしていたしな。
もしかして、異質化した軽トラにはレアドロップ率向上みたいな効果もあるのか? いや、仮にそうだとしても、軽トラに乗って戦闘しているならまだしも、軽トラの関与性が分からない。
まあ、マイナスの効果じゃないので急いで解明せずともいいか。様子を見ていこう。
毛皮の数以外にも気になるところがある。
いかにも『ポーションです』と主張するような、試験管のような入れ物に入った緑の液体が5本。
これはネットで見たことがある。確か、緑は体力回復だったはずだ。
ポーション類は、確率こそ低いもののどんな魔物からもドロップする可能性があるものだ。
そのドロップ率はとっても渋いわりにポーション類の効能はそれほどでもないのだが、探索者たちの間では命に直結するものであるが故、必需品とされている。
特に、今回は手に入らなかったが紫色の解毒ポーションなどは、ダンジョン内で受けた毒を治せる唯一のアイテムという事もあり、さらに高値で取引されている。
それと、本当になんだかよくわからない黒い箱? が一つ。
これは、ネットでも見たことがない。大きさは、ティッシュ箱を半分にしたくらい。蓋があるわけでもなく、本当にただの四角い立方体だ。
不用心にも、直接手に取ってしまってから気が付いたが、もし呪われたアイテムだったらオレは今頃アウトだったろう。そうだ、ダンジョンの中、気を付けるのは魔物だけではないのだ。あらゆるものに注意を払わなければ。
とりあえず、手に入った物は軽トラ荷台のアイテムボックスに戻しておこう。
だって、つい先日ダンジョン所有者になったばかりで、まだ国家資格も得ていないオレがこんな数のドロップを持っているのは明らかに不自然なのだ。ちょっとずつ換金していくのが正しいだろう。
さて、ドロップ品の確認も終わったし、家に戻るか。美剣、帰るぞって、寝てやがる……
美剣をお姫様抱っこして地上に戻る。
途中で美剣は人の姿から猫のそれへと姿を変えたのだが、落っことすことなく家に戻った。
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