第23話 【異質化】軽トラのもう一つの機能
「軽トラの荷台に積んだ、ドロップ品が消えてしまったのにゃ……」
「う~ん、軽トラの荷台に置いてたんだよな? 地面じゃなく?」
「そうだにゃ」
もしかして迷宮に飲み込まれたのかとも思ったが、ドロップ品は飲み込まれることはないと聞いたことがあるし……なにが起こっているのだろう?
「まあ、今日はもう遅いし、明日にでも確認してみようか」
「ごめんにゃ。たぶん、わたしがなにか悪い事しちゃったんだニャ。」
「いや、美剣のせいじゃないと思うから、落ち込むな。」
「そうですよ、美剣ちゃん!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――そして翌朝。
ちなみに、昨夜美剣はマナミサンにつかまったらしく、オレの布団に来ることはなかった。たぶん、モフられたのだろう。
マナミサンも、おとなしく自分にあてがわれた部屋に入り、オレの部屋に特攻をかけてくることもなかった。って、それが普通なのだが。いや、同居してる時点で普通ではないのだが。
朝食を摂ったのち、オレたち3人? はダンジョンに入り込んだ。
国家資格未取得のマナミサンだが、資格未取得者でも、有資格者(この場合、ダンジョンの所有者であるオレ)と一緒ならば、討伐や採取を行わないダンジョン内の見学は違法ではないとされている。当然、死んでも自己責任だ。
まあ、美剣の存在がイレギュラーなので違法もへったくれももはや無いようなものなのだが。
ところで美剣は法律上はどんな扱いになるのだろう。単に、ダンジョン所有者がペットの猫を伴ってダンジョンに入っているだけだ。ペットを伴ってはいけないという法律はないし、探索者の中にはドローンや探査機が使えない代わりに訓練された警察犬や狩猟犬を伴って攻略している人もいると聞いたことがある。
しいて言えば、探索犬ならぬ探索猫かな? そう考えると、もしかして登録とか必要なのかな? あとで調べてみよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
魔物がいないか慎重に扉を開けてダンジョンに進入、軽トラのある最初の玄室に入り込む。幸い魔物はいない。もしこの前のように突然湧いたとしても美剣がいれば瞬殺してくれるだろう。
ちなみに、ダンジョン初体験のマナミサンは目を輝かせている。
あと、美剣はさすがに全裸にはしておけないのでオレのジャージ上下を着せている。ぶかぶかだし、動くと上着がめくれて胸が見えそうになって逆にエロいが仕方がない。
周りを警戒しながら軽トラの荷台へ。
美剣がいってたとおり、荷台には何もなく、がらんどうの空間。
「ここに入れてたんだよな?」
「そうにゃ。毛皮とかが結構積み重なってごちゃごちゃににゃったから、どうにかならないかにゃ~って思ったら無くなったニャ」
「!? そのとき、なにかしゃべったか?」
「よく覚えてにゃいけど、独り言は言ってたかもにゃ」
……もしかして。これは……
「美剣、荷台に向かって、消えてしまったドロップ品をイメージしながら『でてこいや』って言ってみろ」
「? なんですかにゃ? ご主人? ちょっと何言ってるかわかんないですにゃ?」
「いいから言ってみろ」
「……ふう、ご主人が意味不明ニャ。まあ、言ってみるニャ。『でてこいにゃ!』」
すると―――
100に近い数の毛皮と魔石、試験管のようなものに入った液体やらが、荷台の上に一気に現れる。
これは……たぶん……
「【異質化】した軽トラの荷台が、アイテムボックスの機能を持っているんだ!」
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