第15話 秘匿
オレとにゃん公は、灰色狼からのドロップ品を拾い、ダンジョンを後にしようと出口の扉に向かう。
「そういえば、お前、よく調査団の人たちに見つからなかったな?」
「にゃ? あの大勢で来た人たちのことかにゃ~? わたしはずっと
そうか。おそらく運転席を確認して、軽トラが異質化してないか確認したんだな。それで、見た目も変わらないし、キーもついてないからそれ以上確認のしようがなくて、異質化してないと判断したということだろう。
そういえば、これまでに全世界で地球上の生物が【異質化】したという例は聞いたことがない。
いや、正確には、マスコミで報道されたことはない。どっかの国ならば、動物どころか人間を使っていろいろな人体実験とかしていそうだが。
もし幌の中を確認されて、にゃん公が見つかっていたらえらい騒ぎになっただろうな。報道はされないとしても、確実ににゃん公は調査のためとかいって連れ去られるか、このダンジョンに専門的な調査団が派遣されるかしたはずだ。
同じように、軽トラが【異質化】していたことが判明しても調査されただろう。
さて、どうしよう。
本来ならば、【異質化】したものは国への報告義務がある。
にゃん公と軽トラの件を報告するか?
「にゃにゃにゃ!? ご主人? 何かよからぬことを考えてにゃいか?」
「! い……いや、そんなことは……」
「ゔニャ――――――っ!! ご主人! 私を官憲に突き出す気にゃのか!?
いやにゃ! いやにゃあ! わたしはご主人と一緒に暮らすにゃ~!!」
「お……おい……?」
「おねがいにゃ! なんでもするにゃ! 頑張って敵もやっつけるし、エサも贅沢言わないし、夜伽だって頑張るにゃ! だから、そばにおいてにゃ~~~~!!」
おい、夜伽ってなんだ!? 元猫だよな? コイツはどこからそんな知識をインストールされたんだ? 異質化とは……?
「いやにゃー! ゔにゃー! ゔにゃー! ゔにゃー!!!!」
「……渡すわけないだろ……」
「ゔにゃっ?」
「名前つけるってさっき約束しただろ? それに、オレは命の恩猫を放り出すほど恩知らずじゃないぞ?」
「……にゃ……にゃにゃ……ゔにゃ~~~~! よかったにゃあ――――!
ご主人! だいすきにゃー! よろしくお願いなのニャあ!」
「ああ、こちらこそよろしくにゃ」
しまった噛んだ。
「あと、夜伽はいらないからな。」
「なんでにゃぁ―――!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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