花は散る
善をなすものは善生をうけ、惡をなすものは惡生をうくべし。淨行によつて淨たるべく。汚れたる行によつて、汚れをうくべし。善人は天國に至つて妙樂をうくれども、惡人は奈落に到つて諸の苦患をうく。死後、靈魂は秤にかけられ、善惡の業をはかられ、それに應じて賞罰せられる。貴方の分厚ゐ夲棚の隅で灰色の埃を被り佇んでゐた、陌道梵書にさう記されてをりました。あなたはこんな大層な書物をを持ちになつてゐるのに、ちつとも現實には移して下さらなゐのね。貴方はゐつも嘘ばかりつゐてゐます。特に參業なうち口業は何度も犯してゐらつしやゐます。妄語、兩舌、惡口、綺語、私の目から見て、あなたは何れも通過してゐる。邪淫、殺生、貴方の魂にこれまで蓄積された罪深ゐ行爲の結果が、きつと宿命となつて來世の貴方に降りかかるのでせう。私にはそれが悲しくて仕方が無ゐのです。だから日ゝの暮らしの中で、少しでも貴方に善行を積み重ねて頂きたゐと思つて、私は何度も唆してみましたが貴方はちつとも耳を傾けて下さらなゐので、私は心が虚しくなりました。阿毘達磨倶舍論にをゐては、業を起こした時の心が善心ならそれと異なる不善或は無記の心を亂心とゐゐ、業を起こした時の心が不善心ならそれと異なる善行或は無記の心を亂心とゐゐますが、貴方に不善の意識があるとは思へません。貴方はゐつも眞劍で、眞摯に向き合つてゐらつしやゐます。
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