鰯網で鯨が捕れちゃった・・・
きこうダきこう
鰯網で鯨捕る
ある年のお正月、私は愛知県内にある全国的にも有名な神社へ初詣に訪れた。
そこへは毎年参拝に訪れており、その時も例年通りに参拝して神社を後にした。
いつもならそれで帰宅しているのだが、その年はその後近くの別の神社へも足を運んだのだった。その目的は……そこの神社の"御朱印"を貰うためであった。
なぜ今年に限ってそうしようと思ったかというと、きっかけは毎日通勤で利用している駅に置かれていたリーフレットの中に初詣で訪れている神社周辺の情報が掲載されているリーフレットを見掛け、そこに今回訪れた神社の事も紹介されててその神社では境内に用意されている用紙に必要事項を記入し、その用紙とお金を袋に入れて投函箱に投函すれば一週間以内に御朱印を郵送してもらえると書かれていたのだ。
それならばわざわざ御朱印帳などを用意する必要もなく、また境内に誰もいなくても構わないんだから帰りにちょっと寄ってみるかと思い立ったのであった……。
そうして実際に立ち寄って参拝した後、社殿隣の建物に確かに用紙と袋が置かれていた。
よくよく見たらどうやらその神社には3種類の御朱印があり、1種類は1枚300円でもう2種類は1枚500円となっていた。
その時は正直それほどお金を持ち合わせて無かったこともあり、3種類のうちの2種類(300円のと500円のうちの1種類)だけ注文することにして用紙への記入と投函をして帰った。
それからは特に御朱印のことを気にすることもなく普段通りの日々を過ごした。
そうして神社へ参拝して一週間後、不意にふと(あれ? そういえば御朱印ってまだ送られてきてないような……)と思い出したのだった……。
その日は通常なら郵便物は配達されない曜日であったため一週間以内にであれば前日までに届いているはずなのだが、神社からの郵送物は無かったため(忘れられてるのか?)と思った。
特にどうしてもや早く欲しいというわけではなかった事もあり、(取り敢えず次に郵便物が配達されてきた時に確認し、それで無かったらその時考えれば良いか)という事にした。
そして次の郵便物が配達された日、幾つかの郵便物は入っていたがやはり例の神社からの郵便物は見当たらなかった。
(やっぱり忘れられたんだな)と確信し、駅で手に入れたリーフレットの中にその神社の問い合わせ先の電話番号(宮司さんの自宅電話番号)が掲載されていたため一応問い合わせをする事は可能だったが、私自身朝早くに仕事へ出掛け夜遅くに帰宅するといった生活であり、また仕事中も電話を掛ける余裕が正直無いほど忙しい状態であったため、仕方なく次の週末に電話を掛ける事にしたのだった。
しかしそう決めたにもかかわらず、仕事中もプライベートの時間でも最初の一週間の時と違って何となく御朱印の事が気になり、事ある毎に(今日はどうだろう(送られてきたか)なぁ)とか、(もしかしたら届いてるかも……)などと淡い期待を抱いて過ごしたのだった。
けれどもやはり神社からは何も送られて来ず、とうとう週末となり流石に私も我慢の限界に達し神社へ問い合わせの電話を掛けた。
そうして電話に出て頂いた方に事情を説明したところ、「多分お正月の慌ただしさで何処かへやってしまったのかもしれません。申し訳ありません」と仰っしゃられたのだった。
その返答を聞いても私は特に相手に腹を立てる事もなく淡々と「そうですか」と答えた。それから改めてこちらの名前や住所を伝えて電話を切った。
そして数日後、ようやく神社から郵便物が届き早速開封して中を確認してみたら注文した御朱印が無事入っていた。それを見て(あー良かったぁ)と安堵したのだった。
しかも中をよくよく見てみたら、何と注文していないはずの残りのもう1種類の御朱印まで同封されていたのだった。
(何でだろう?)と思っていたら手紙も同封されていたので読んでみたら、最後に〜〜朱印紙を一枚入れさせて頂きました〜〜と書かれていたため、(その朱印紙がこの御朱印かぁ)と理解したのだった。
こうして、その年は偶々駅で見掛けたリーフレットに掲載されていたのを見て初詣参拝のついでにちょっと寄って御朱印を貰ってこようかなぁというぐらいの軽い気持ちで訪れ、本来より一週間余分に待たされ届くまでの間は内心イライラハラハラさせられたが、結果的には無事送られてきた上に2種類分の料金で3種類とも貰うことができ、まさに意外な収穫や思いがけない幸運で幕を開けたのだった……。
完
鰯網で鯨が捕れちゃった・・・ きこうダきこう @s20440087
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます