第12話 Hey Siri

これは1年前に、私が体験した話。



「私」「今日からこの家で生活か」


「私」「坂の上だから景色がいいな!」



当時私は、伝統工芸品を扱うお店で働いていて、もっと職場に近いところがいいと思って、有名な坂の町にあるアパートへと引っ越していた。



それから4ヶ月が経った――



仕事から帰宅すると…



「猫」「ニャ~」


「私」「こんな時間まで待ってたのか?」


「猫」「ニャ」



野良猫のワタだ。



最近可愛がっていたら、家に入れろと鳴いてきて、よく家の中で温まって寝ている。



カチッ!…ゴク…ゴクッ!



「私」「あぁ~旨い!」



お風呂から上がった私は、テレビを見ながらビールを嗜んでいた。



「ワタ」「…?」


「私」「…どうしたワタ?」



ワタが辺りをキョロキョロし始める…



「私」「…ん?」


「私」「まぁい――」



その時だった――



ピピッ!



「Siri」「自殺ですか?」



コトッ



ピピッ!



「Siri」「何故自殺したのですか?」



コトッ…コトッ!



「私」「ハッ!?…ちょ待て…」


「ワタ」「シャァァァァ!!」


「ワタ」「ウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」


ベランダの物干し竿が、コトッ…コトッ…と動くと同時に…


猫がベランダに向かって、尋常じゃない程に威嚇をする。



ピピッ!



「Siri」「そうですか、それはツラカッタですね」



コトッ!コトコトコトコトコトコト!!



「私」「ワァァァァァ!!!」



「ワタ」「ウゥゥゥゥゥニャァァァァ!!!」



ピピッ!



「Siri」「自殺防止――」



その次の瞬間だった――


ピピッ!




















「女性」「痛い…なんで私だけ」



その日以来、そういう霊体験は起こっていない…そういう事が家でもないし、そもそもこの町でそういう出来事はほぼ皆無に等しい。


だから、調べても何も分からないでいた。



だが…



「ワタ」「…?」
























今日もワタが周りをキョロキョロしている。



ピピッ!























「Siri」「もう繰り返すのはやめましょう」


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