この人の存在を忘れてました
「おはようございま〜す」
「お、おはようございます!」
ギルドの扉を開けば、こんな朝早くだというのにちらほら人がいた。
おぉ、やっぱりみんなThe・冒険者!って感じの格好してるなぁ。うぅ〜ん、異世界!
でもそれだけあって皆さんお顔が怖い…………………
ズカズカ入っていけるローザさん、改めてコミュ強―――――――――――――
「あぁぁあぁぁぁああ――――――――っっっ!!」
と、突如響いた女性の叫び声によって、私の思考が途切れた。
何かあったのか!?と驚いて声のした方を見れば……………………………そこには、驚愕と興奮の表情を浮かべる
ひぃぃいぃっ!(悪寒)
メアリさんはそのゴリ…………ゲフン超人的な身体能力をもって、2階の廊下から1階、酒場の床まで華麗に降り立つと、そのまま真っすぐ私へ直行。
「カ・エ・デ・さんっ!!」
「は、はいっ!?」
ぐいん、と身を乗り出してこちらを見つめるメアリさん。心なしか瞳の中にお星さまが見えるような……………………
「来ていただけて嬉しいです!!ついに我がギルド期待の冒険者としてこの国全域に名を
「えっ」
チョットハナシガヒヤクシスギテマセンカ?
そんな私の内心を全く感じ取らず(←おそらく)、メアリさんは興奮に頬を染めながらキンキラキンの瞳でまくし立て続ける。
「ふふふ、まずは奥へいらして下さい!昨日よりもより深くスキル、及び
そのセリフを言っている間にも、メアリさんは私の手をつかみズルズル奥へと引っ張っていく。
やめて下さい、私は『創造者』としての仕事もあるからある程度自由時間もほしいし、気ままに自分が作った異世界の観光もしたいんです。
世界全体に名前を轟かせるとか冗談じゃないです。
だがそんなことを言える雰囲気でもない。
私はただ後ろを向いたまま引っ張られていく。
たっ、助けてローザさん!
と、ローザさんを見れば、ちょっと困った様な笑みを返されただけだった。
「おい…………今の聞いたか……………?」
「あぁ……………このギルド期待の星だって………………あんな細い女の子が?」
あぁ!メアリさんが大声で言うから!大声で言うからウワサされてるよ!!
私はこういうヒソヒソ話で自分の話をされるの(そしてそれを自分で聞いてしまうの)がとっても嫌いなんだよ〜!
「でも、あのギルドの女神が言うんだぞ………………?あながち間違いではないのではないか…………………?」
えっ?ギルドの女神って誰………………まさかメアリさん!?
「そうだな…………そう言えば、あの子の隣にいるローザって奴…………あの人も確かギルドの女神に素質を見いだされた人じゃなかったか?」
そうなの!?!!!??!
「まぁなんにせよ……………カエデ、とか呼ばれてたか?」
「あぁ。あの子には、これから期待だな」
やめてぇぇぇええぇぇえ〜!期待とかしないでぇぇぇええぇぇえ!!
そう言おうとする私の目の前で、無情にも扉は閉まってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます