明るかった樹の下で

ねくしあ@カク甲準備中乞うご期待!

「私の好きと思い出」

 私はこの場所が好きだ。

 青々とした草原、爽やかに広がる空。寝転がる私の後ろには大きな木があって、大きな日陰の中でゆったりとした時間を過ごすのが好きだ。

 胸いっぱいに息を吸い込めば、穏やかで清々しい気分になれる。

 

「あっ――」


 葉っぱが私の顔に落ちてきてしまい、思わず声を上げる。


 この木は私が子どもの時から、いやそれよりずっと前からあるが、ここ最近は少し寂しさを感じるようになってしまった。

 今までより落ちる葉っぱの数が増えていっているからだ。


 何十年も、晴れる日には必ずここへ来ている。

 

「昔は、色んな人とここに来たなぁ」


 気づけばここに一緒に来る人はいなくなっていた。

 そんな彼らを、目を閉じて懐かしさを思い出すのも、またいいものだ。


 こんな時間も、もうすぐ終わりを迎える――そんな事を思えば、誰だって寂しくなって当然だろう。


 残された時間を私は大切に過ごす。


 だって――明日には戦争が始まって、ここには何も残らないから。

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