第弐十九話! ストリートファイトォ! レディ・・・GO!
同日 午後16時39分 駅前広場
どこだ! 外で待つと言ったが、ここで間違えないはず・・・後ろか?! 俺の背後を狙う気配を感じて振り向くとばななちゃんが俺の頭目掛けてバットを振りかざそうとして来たため、すかさず避けて距離をとる!
「ちっ! 反射のバケモンが!」悔しそうな顔で俺を睨みんでくる。
この時間帯、学校終わりの学生やらでさっきよりも広場に人が多い。
「なんだなんだ? 喧嘩か?!」
「あれ、ばななちゃんじゃね! 初めて生見た!」
「向かいにいる男、さっき配信出てた奴だよ! めちゃおもちゃにされてた」
案の定、派手な動きをすると物珍しさで集まってしまい大勢の人込みに囲まれてしまった。
「いいねぇ~これぞストリートファイトだよ! コンクリジャングルの中、平凡な日常に刺激求めに来たギャラリー。舞台は整った・・・後は勝つまで闘うだけだ!」高らかに御託を述べた後、再びバットを俺目掛けて振りかざして襲い掛かって来る!
「あぶねぇ?!」素早く横にかわしたが、人込みが邪魔で動ける範囲が制限される。肩すれすれになっても一向に動こうとしない、この状況で感覚がマヒしているのか、それとも自分に危害が加わる事を考えていないのか、どっちにしろ闘いづらい! 「当たっても知らねぇからな!」人込みに忠告はした、もう知らん! 止むことのない乱撃をかわすのに余裕がない!
「ちょこまかと・・・しつこいぞ!」しまっ! 胸倉を掴まれ、脚を引っ掛けて地面に押し倒される! 「この距離なら、回避できないなァ!」逃げられないよう、仰向けで横たわっている俺の腰を挟むように立ち、バットを振り下ろす為に体を仰け反る。
確かに逃げらんねぇ、なら向かい撃つまでだ! 背中目掛けて右脚を勢いよく蹴り込む! 「がはっ!」不意を突かれて前屈みに倒れこんで来る、倒れる寸前で前髪を掴んで横に倒し今度はこっちが馬乗りになって右手を顔面目掛けて空に引く。
「恨むなよ・・・」目一杯力を込めて振り下ろす! 鼻付近に命中し、骨を殴った反動と痛みが拳に伝わって来る。けど殴ったのに、鼻から血を出しながらコイツは微かに微笑んでやがる・・・「はぁ・・・はぁ・・・アァァァァァァァ!」叫びながらすかさずもう一撃喰らわそうとまた拳を引くが、死角からバットで左耳を殴られ衝撃で強制的に降ろされた。
耳たぶが・・・腫れてズキズキする! 「うぐふっ!」痛みに囚われてる合間に立ち上がったばななちゃんに腹をバットで殴られる!
「いてぇじゃん・・・クソ日脚がァ!」また上に跨れて、首にバットを押し当てられ上から圧力かけて来る・・・「これだよ! これこれ! アンタとこう言う闘いがしたかった!」
「きたねぇ
(!闘魂技発動! ヘタレ式近接戦闘術!)
肩に乗ったバット両手で掴み体をねじって何らかの力で強引にバットを手から奪い取った。
「よォし!」
「よくも私のハーレイを!」
「こんなモノ!」空高くは放り投げる! コレさえなければ大分戦力が削れたはず、畳みかけるなら今だ!
(!闘魂技! バッタの蹴り!)
助走をつけ目一杯空高く飛び、大きな飛び蹴りを喰らわす! 「終わっ!」後はこのまま蹴りつけるだけなのに、唐突にも目の前に銀色の棒が空向かって伸び、そのまま地面に叩きつけられてしまった。
「ながはっ?!」訳も分からず目を開けると、ばななちゃんが俺の胸に片足乗せ空を見上げ、落ちて来るバットを右手でキャッチした。
(!闘魂技発動! ハーレイズ・フィニッシュ!)
「おかえり、ハーレイ」そして俺の腹目掛けてバットを振り下ろした。
「がアアアアアアアアアアアぁ・・・」この一撃・・・今までのと比じゃない。痛みと衝撃が激しいのは当たり前だが、どこか俺の中にある争いの炎が薄れたみたいに起き上がる気力までもが消し飛んだ。文字通り俺は、この攻撃を受けた事によってこの闘いに終止符が打たれた・・・
「あ~い~むぅ~WIN!」ばななちゃんが群衆に向かって勝利宣言した直後、拍手喝采の嵐が巻き起こった。
「ばななちゃん、ナイスファイト!」
「今回すっげぇ接戦じゃなかったか?!」
「バット奪われた時はどうなる事だったけど、これでまた無敗神話更新だ!」
とてもじゃないがその姿はヤンキーに見えなかった。まるで・・・日曜の朝にやってるHERO?!
「日脚君! ちょっと、どいて!」そんな中、群衆の向こうから聞き覚えのある声が人波をかき分け近づいて来る。「日脚君! 大丈夫?!」
「会長・・・」
「はぁ~よかった・・・生きてる! 喋れる! 意識がある!」俺が生きてる事を確信したら一気に力が抜けたように地面にぺたんと座り込んだ。「負けたんだ・・・」
「・・・・・・うん」
「でもいい負け方だったよ・・・上から見てたけど、今まで見た喧嘩で一番かっこよかったよ!」
「いい・・・負け方?!」負けたのにかっこいい?! しばらくわかりそうにない言葉だ。
「さてと。やっとこれで、心置きなく
「・・・わかった。はいこれ」いつもならしょうもない嘘でごまかすのに、今回はすんなり渡した。
「初めて私じゃないんだ~」
「入学式の日に東高の3年にね」
「なんだ、去り際に初めてが私でよかったねって吐き捨てようと思ったのに。でも褒めてやるよ、私から
「寝取った?!」
「会長、アイツのバットの事です」
「まだ話し終わってないんだけど・・・それとルシールを使わせたのも合わせてね・・・」ルシール、突然現れたあの棒の事か。「あれが私にとって最後の
「てことは惜しいとこまで行ってたのか・・・」なんだろう・・・コイツを見えると、みるみる活力がみなぎってくる。次は負けない。東高の奴らと闘った時には無かった感覚だ・・・
「まぁでも雑魚なんだけどね! 確かに線香花火の異名にピッタリの闘いだったわ!」
「な、なに?!」せっかくいい感じに浸っていたのに、いつもの煽り口調で空気をぶち壊してきやがった!
「悔しかったらいつでもかかって来な、勃起マン・・・ぷっ、ギャハハハハ!」自慢のゲラゲラ笑いと共に去って行った。
「待てやいかれビッチ!」いっ! 無理に起き上がろうとしたら体中ズキズキしてきやがった・・・あでも、無数のスケバン達にに追われてる。
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