第弐十六話! 駅前のゲーセンは東高の縄張り! しかしその横カラオケにはギャルギャルした勢力の縄張りでもある!

 「つまりこういう事でしょ!」横から猛スピードで最後尾のヤンキーに向かってドロップキックを喰らわせた。「美保! 穏香!」


 「え、なに?!」


 「そういう事か・・・」褐色は理解していないが、あの物静かそうな黒髪はキックで倒れたヤンキーに走り、腹にエルボーを突き刺した。


 「ぎゃああああ・・・!」


 「ナイスだ!」大声で2人に届くようナイスを送った。


 「どういう事だよ?! おい説明しろよ!」まだ状況が理解できない褐色のスケバンが駆け寄ってしつこく聞いてくる。


 「今の出わかんないのかよ・・・じゃいい! 俺と戦え!」そいつの手を引っ張って、隣に引き寄せた。「このまま全滅させるぞ!」さぁどうする・・・お前たちは9人、こっちは4人。一見人数不利にも見えるが、2人お前らの背後を取ってる。


 「クソ・・・挟み撃ちとか卑怯だろ!」


 「とにかく二手に分かれてやるぞ! 日脚を優先して倒すぞ!」冷静に考えるとそう来るよなぁ、6対3に分かれて襲い掛かって来る。


 「ちょ、多くねぇかあれ!」


 「いいか、向こうの2人穏香と倫子が倒すまで何としても耐え抜くぞ!」


 「ちっ、持久戦って事か。良かったなぁ、スタミナにはかなり自信があるからなぁ! 穏香! 倫子! ちんたらすんなよ!」


 相手は6人・・・今までも大人数を相手にしてきたんだ。勝てるぞ、俺!  集団とぶつかり合いの乱闘が始まる。


 冷静に分配すればひとり3人相手にすればいい、2人のヤンキーの胸倉を両手で掴んで褐色のスケバンから遠くに引き剥がす。すかさずもう一人も背後から襟を掴んで地面に倒し、顔面にパンチを振り下ろす。


 「はぁ!」


 「がはぁ・・・!」3発ほど殴って気絶させた。


 よし、まず1人。起き上がって、さっき引き剥がしたヤンキー2人の相手をする。正面から戦う為さっきみたいな奇襲は使えない、一瞬でも気を抜いたら服叩きにされる! 気の抜けない攻防戦が強いられる。


 「きゃあ!」叫び声の方を向くと、褐色のスケバンがヤンキーに倒されていた! 


 「へへ、どじっちまったなァ!」まずい、今にも踏みつけようとしている! 今の相手をやめて、全速力で走って飛び蹴りを喰わす。


 「させるかァ!」見事に命中し、大きく後ろに吹き飛んだ! 「大丈夫か?!」心配するもつかの間、褐色のスケバンが相手にしていたヤンキー2人に背後から掴まれそのまま引き剥がされる!


 「おい今だ! あのチビを殺れ!」掴まれてる奴の合図で俺が相手をしていたヤンキーどもが褐色のスケバンに向かって走り始めた。


 「離せや!」何とか腕を振りほどいて、すかさず一人のみぞおちに下からパンチを突き上げ、そのまま背後にいるもう一人にみぞおちに肘を突き刺し一先ず時間を稼ぐ!  二人が悶絶してる間に褐色のスケバンの元に走り、ヤンキーの追撃を何とか阻止した。


 何とか間に合った・・・けどさっき蹴り飛ばした奴が起き上がって後ろを取られてしまって挟み撃ち状態になってしまった。「おい平気か?!」ずっとさっきからグローブを付けた手を抑えて悶絶している。「手をやられたのか?!」


 「へ、平気だし・・・」わかりやすいやせ我慢だ、多分してるぞ。


 「人の心配よりも、自分の心配したらどうだ!」前から二人のヤンキーが襲い掛かてくる! 必死に守りながら抗戦するが、顔にパンチを喰らってしまった。


 「うぐっ・・・!」喰らった反動で、後ろに倒れそうになるが、何とか耐えっ「クソ、ぐわっ!」背後から襟を掴まれて、無理やり倒される! このままじゃ、あのスケバンの上に・・・一か八か体を左に傾け、地面に倒れる事が出来た!


 「だァいてぇ!」地面にぶつかった衝撃で肩を打ってしまった。速く立ち上がらないと・・・しかしそうはいかなかった、ヤンキーが二人俺に駆け寄り、立てないよう体中を乱雑に蹴られて阻止された。


 「今だ! 殺っちまえ!」しまった・・・何とか抜け出さねぇと、あのスケバンがやられてしまう! しかし蹴りが激しく、抜け出す隙が無い。


 もう無理か・・・「うちらの事忘れてんじゃねぇよ!」何処からか聞こえてくる声共に一瞬にしてヤンキーどもの蹴りが止み、地面に叩きつけられていく。


 「お前・・・」

 

 「美保なら無事だ、お前の作戦勝ちだったな」ヤンキーを片づけてくれた正体は金髪のスケバン倫子だった。起き上がると、襲ってきたヤンキー全員やられて地面に叩きつけられていた。


 「何とかやったか・・・それよりアイツは?」あの褐色のスケバンの元に駆け寄ると、もう一人の黒髪のスケバンが寄り添っていた。グローブを外した手を見ると、指の付け根部分が青黒く変色している。


 「骨折してるみたいだから今から病院に連れて行く」そう言って、2人がかりで立たせ、病院まで歩き始める。


 「ま、待てよ・・・その前にかね」


 「こんな状況でまだ言うか・・・金より自分の体心配しろよ」


 「それに今頃入学シーズンに使い過ぎて、ヤンキーどもなはず」去り際に聴こえてしまった痛い言葉が現実にならないといいけど・・・倒れたヤンキーの追いはぎ中の会長の元へと向かう。


 「たく、礼の一つも言ってくれればいいのになぁ・・・ねぇ会長」倒れたヤンキーの追いはぎ中の会長の元へと向かう。


 「え? はいはいそうね」適当に返され、素早い手つきで財布を物色する。全然こっちの話聞いてない・・・


 「一応学生証も抜いといてくださいよ。喧嘩に勝った証なんでしょ」


 「もう、そんなの自分でやってよ! 今集中してるから 」もうコイツ見捨てて帰ってやろうかなァ! 何だよ、その態度! 一生懸命戦った俺に対する態度じゃないだろ! 


 と思いながら、黙々と会長が抜き終わって捨てられた財布から1枚1枚抜き取って行く。


 「ちょっと日脚君聞いてよ! 10人の財布からたった5000円しか取れなかったんだけど、ヤンキーもシケタもんねぇ・・・」つまり一人500円か、やはり仏様はいつも見てるんだなぁ。


 「仕方無いっすよ、常に上手く行くとは限りませんよ」


 「後誰だろう、金持ってそうな奴は・・・」


 「あの、会長俺の話聞いてます? もうこんな事辞やめて、コツコツバイトして・・・」


 「されじゃあ遅いって言ってるでしょ! いつ売れるかわからないんだから、1秒でもはや・・・あぶない!」


 「え?」急になっ! 


 (!! !)


 凄い勢いで脚に何か硬い物がぶつかり、衝撃で脚と一緒に体ごと宙に浮いた。そのまま背中から地面に落ちた。「なっ!・・・」 お、おんな? 次の瞬間、何か棒のような物を俺の腹に目掛けて振り下ろされた! 凄まじい衝撃と激痛が体中に走り、叫び声も出ぬまま腹を両手で抑えながら横たわる・・・


 「ぐはぁっ! アアァァ・・・」胃から逆流した血が口から地面に吐き飛ぶ。「だ、だれだ・・・」何者かに足で無理やり仰向けにされて、ピンクの棒のような物を俺の腹に勢いよく突き刺して来た! 「がぁアアア!」激痛がまた走り出した。「お、お前・・・!」

イキリ

 「おひさぁ~カモ高のイキリ花火!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る