第弐十参話! 生徒会長室は元々用務員の休憩室! 勤務形態が変わる為、空き巣になる所を石浦が強引に使わしてくれるよう校長に懇願した!

 あ、先輩R4のCOMPLEX聴いてる。アトリエから流れてるパンクロックは廊下にまで漏れている。激しめの曲って事はちょっと行き詰ってるのかな? 頑張れ~先輩。


 「ひっあしくん~クマちゃんクッキー貰ったから、一緒にた~べよ!」陽気なテンションでドアを開けて部屋に入った。「あれ? 日脚君が寝てる」押入れの近くの隅でマットを敷いて寝ている。


 いつからねてるんだろう、この様子じゃ結構前からかも。音楽が流れてる中にも関わらず、ぐうぐういびきをかきながら爆睡してる。やっぱりまだ完全には癒えてなかったんだ、ちょっとなんか申し訳ないな。


 開いていた押入れから布団を出して、日脚君にかけた。これ前の用務員さんのだけで、まあ男だから気にしないよね。


 クッキーを机の上に置いてそ~と部屋を出る。あれ? てことは今日、やる事が無いから帰ってもいいって事だよね。特に先生からの雑用も押し付けられてないし、生徒会の仕事も当分ない訳だから・・・「久々の平日オフ日じゃん、やったー!」これ以上見つかって雑用振られる前にこの学校出なきゃ!


 駆け足で教室に戻って、カバンを持って階段を駆け下りる。「今日はオフ~オフの日だ~」


 「あ、会長!」2階に降りた時に誰かに呼び止められたけど、聞こえなかったふりっをしよう。「ちょっと石浦待てよ! 聞こえないふりするな!」


 「もう・・・なんですか! 当分生徒会の仕事無いはずですよ」矢崎さんに呼び止められたので仕方なく止まってあげた。


 「まぁ待てよすぐ終わるか」この人は矢崎信吾やざきしんご。3年で副生徒会長をしている。眼鏡でいかにもがり勉な真面目な人。冗談が通じず、あまりこの人と馬が合わない。「1年の日脚何処にいるかわかるか?」


 「日脚君に? 何か用ですか?」


 「昨日2年がコンビニで不良に暴行された所を日脚が助けたんだ」


 「そのようですね、私も聞きました」


 「それで、お礼を代わりに言ってくれと頼まれたんだが、探しても何処にいるのかわからなくて、今どこにいます?」


 「日脚君なら・・・」ホントは私の部屋で寝てるけど、起こしたくないから「この時間はいつも外ですね」


 「外のどの辺とかわかりますか?」


 「う~ん、どこにいるかまではちょっと分かりませんね。和光市の何処かにはいますよ」


 「そうですか・・・困ったなぁどうしようか」


 「お礼なら私が明日日脚君に伝えますよ、それじゃ!」強引に会話を切りあげて階段を降りて急いで校舎から出た。


 もう~こんな事でいちいち私を呼び止めないでよ、お礼なら直接本人に言わせればいいのに、あの人真面目だから人の頼み事断れないんだよね。




 同日 某時刻 和光第二高等学校 某所


 「おい、俺だ俺!」


 「日脚の現状を確認できたか?」


 「あいつ放課後学校にいない! いつも外に出てるってよ」


 「具体的にどのあたりにいるかまで聞いたのか?」


 「聞いたよ! そしたらあいつ、和光市の何処かにはいるってほざきやがってよ!」


 「なるほど・・・上手くみたいだな」


 「どういう事だ?!」


 「気にするな、こっちの話だ。こちらで捜索してみる」


 「その間俺はどうすれ」また勝手に切りやがって! 


 俺がバカされた? ・・・はっ、そういう事かクソ! 石浦・・・どこまで俺をコケにする気だ!




 4月14日 午後15時2分 和光第二高等学校 生徒会長室


 「う~ん! やっぱ1日寝かせて食べても美味しいね!」


 「そうっすね・・・」昨日貰ったクッキーを2人で食べている。


 「もう、どうしたの?! 浮かない顔して! 関節キスならぬ出来て嬉しいの」


 「な、な訳ないでしょ!」いやまぁ合ってるけど「せっかく気使って使わずに寝てたのに布団かけないでくださいよ」


 「だって、見たら寒そうにしてたから親切心でかけてあげたのに! ホントは嬉しんでしょう、私の温かみを感じながら質のいい睡眠がとれたんだから」


 「嬉しさよりも、今ドン引きしてるんですけど」


 「な、なんでよ!」


 「会長って普段から布団使ってるんですよね」


 「まぁ、形は似てるかな」


 「やっぱり普段からの布団使ってるんですね・・・」


 「失礼な! ママんが毎日お布団干してくれるし洗ってもくれるわよ!」


 「なら自分の目で確かめてみてくださいよ!」


 「昨日見たわよ! カビなんて無かったわよ! 笑えないわよ!」


 「裏面もしっかり確認したんですか?! 有り得ないほどの数いたんですからね!」怒りで熱くなって押入れから掛布団を出して裏面を突きつける!


 「やだぁ! 最低、まだ食べてるでしょうが!」慌てて目線を逸らす会長。


 「起きた見た時、吐き気を網ようしながら気絶しそうになりましたからね」途中で悪夢を見たのも絶対これのせいだ。


 「わかった、ごめん! 謝るからそれしまって・・・」この事は一生根に持ってやるからな・・・俺は会長を睨みつけながら押入れに放り込んだ。「はぁ・・・でも1つ訂正させて、それ私のじゃなくて前の用務員さんのだから」


 「だったらすぐ処分してくださいよ」


 「先延ばしにしてたら存在自体忘れちゃった・・・」


 「このバカ会長・・・寝てないですよ?」


 「私一応A型なんだけど」奇遇だな、俺もA型なんだけど微塵も見えないな・・・


 「それで、今日はただ差し入れのクッキー食べる回ですか・・・いたぁ!」取ろうとしたら缶かんの蓋で指挟まれた。仕返しのつもりかよ


 「そんな訳ないでしょ、今日からに付き合ってもらうよ」


 「買い物?! 何買うんすか」


 「ふふふ、それは見てからのお楽しみ。 日脚君のせいで食欲失せちゃった・・・ちょっと早いけど行くわよ!」クッキーを収めて何処かに連れて行かれる。

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