第弐十壱話! アディショナルタイム突入! 最後の1秒まで決して諦めるな!

 「掛かれや、お前ら!」キモロン毛の掛け声とともに1世に襲い掛かって来る。


 「うぉぉぉぉぉぉお!」迫りくる集団にも臆することなく貫く勢いで走り出す! 「どきやがれェ!!」キモロン毛の手下の集団に向かって捨て身の体当たりを喰らわし、一気に陣形を崩す。「邪魔だァ!」崩れた勢いで倒れた1人に跨り、体重の乗った重い拳を振り下ろし、気絶するまで殴り続けた。


 「1年の分際で調子に乗んな!」手下が2人がかりで両腕を掴まれながら引きずり降ろされ、壁に叩きつかれる。


 「キェェェェェ!」叩きつけれた瞬間、キモロン毛が鉄の棒のような鈍器で殴りつけて来る。


 「あ、ぶねぇ!」間一髪で避ける。


 「ヒィエエエ!」壁にぶつかった鈍器が再び俺に襲い掛かって来る。避けたって、この人数じゃ直撃までの時間稼ぎに過ぎない。なら! 負傷覚悟で、腕で受け止める!


 「うぐっ!」いってぇ・・・じゃんかよ! キモロン毛の腹を蹴り飛ばし、倉庫にぶつける。「少し寝てろ!」あの棒シャレになんねぇ、喰らったところが一瞬で青ざめて痣になった。もうこれ以上は喰らえない・・・今のうちに手下どもを。


 「おい使えそうなも持って来い! タイミング合わせてコイツ殺るぞ!」一人がコンビニの中に入って行った。それを守るかのように残りが押しかけて来る。


 ちっ、1人ずつ相手に出来そうにない。コイツ等にはタイマンで闘うと言う考えが無い。1人の顔面にパンチを入れても、すぐに横や後ろから別の奴に攻撃される。  

 

 「そっちが山猿みたいな結束力で来るなら、それを崩すまでだ! 1人の胸倉を掴んでダッシュで集団から引き離し、道路まで飛ばす! 


 「うわァ!」次だ! ダッシュでまた集団に突っ込み、今度は首根っこに腕を回し髪を掴んで壁に顔面をぶつける! 

 

 「ぎゃア!・・・」地面でうめき声を挙げながら鼻血を垂らす。


 「クソ・・・速い! 速いすぎんだろう!」スタミナと速さならお前らに負ける自信ねんだよ! あと5人・・・このまま残りも片づけてやる!


 「待たせたな! 武器になるもん持ってきたぜ!」クソ、1人増えたか。何を持ってきたと思えば、ビール瓶?! 


 「シャレになんねぇェェェェェェ!」きゅ、急に体に電流ががァ・・・


 「わしの事忘れんなや!」こ、このキモロン毛・・・! 「しっかり狙えよ、お前ら!」髪を掴まれてそのまま手下に突っ込み、ぶつかる寸前で放り込む。


 「死ねェ! 日脚!」1人がビール瓶を俺の頭に振り下ろす。直撃を受けて破片と共に地面に叩きつけられる。


 「がはぁっ・・・!」 耐えられない激痛が頭に走る・・・でも不思議な事に意識がはっきりある。「ひ、卑怯なことしやがって・・・」


 「しぶといな、おい、次は外すんじゃねぇぞ!」また髪を掴まれて無理やり立たされ「良く狙えよ・・・今や!」


 「そう何度も・・・行くかよ!」殴られる寸前で振りほどいて抜け出し、何とか壁にもたれかかる。


 「ちっ、こそこそと逃げやがって・・・でもそのケガじゃもう素早く動けんまい」


 手にバチバチと電流のような流れる物を持っている。「おい、それって・・・」まさかそれスタンガンか?! 


 「これの事か?」


 「なんでお前が持ってる・・・!」その形は確か、月美先輩の!


 「昨日なぁ、ここでイライラしながら待ってる時になぁ、親切なお兄さんに譲り受けたんだよ!」


 「ガァアアアアアアア!」こ、このクソロン毛がァ・・・躊躇なく当てて来やがった! 


 「死ねや、クソがァ!」20万ボルトの電流が容赦なく注ぎ込んくる! 意識を保つので精一杯で体を支えきれず倒れてしまう。「じゃあな日脚、これで終わりにしてやるよ」手下からビール瓶を奪って俺に狙いを定める・・・


 「兄上、よせ!」遠くの方からデカい図体でこっちに走って来る。「それ以上やったら死ぬぞ!」


 「うっさいんじゃ! わしゃコイツ殺ってムショ入るんじゃ!」


 「頭を冷やせ、もう勝負は着いただろ! もうしばらくは大人しくなるはずだ。瓶を渡せ!」


 「山・・・要は殺さんかったらええじゃろ!」一瞬渡すと見せかけ、俺目掛けて瓶を投げつけてきた・・・


 「兄上!」瓶の底がデコに直撃して、地面に横たわってしまう。「何を考えとるんだ!」完全に気は失ってはいない。けど目に血が流れて視界が紅く変色し、音が籠って聴こえる・・・


 「安心せぇ。息しとるわ」


 「兄上、こんなんは喧嘩とは言わん! もう二度とやらんでくだせぇ」


 「そうやな」俺の顔の前で座り込んで、「おいこらガキ! けったいな事企てるようけどなぁ、無理や。お前一人でどうこうしてひっくり返せるわけないやん! 女と仲良く遊んでろ! まぁ女の趣味は終わってるがな」そう吐き捨てて去ろうとする・・・


 俺はここで、あのキモロン毛どもの背中を見る事しか出来ないのか・・・無意識に自然と目線が先輩の方を向いてしまう。いつもの軽蔑する顔ではなく、心配した顔でこっちを見ていた。何か口がもぞもぞ動いてるが、聴き取れない・・・せっかく、ここまで来たのに。


 「わた・・・・・・がん・・・から・・・・・・から・・・め」・・・先輩の口からこの言葉だけが耳に入って来た。


 。俺にそう言ってるのか・・・俺ってだせぇな。さっき言った事そのまま返されたよ・・・。何度だってひっくり返してやるよ!


 「うっ・・・うぉおおおおおお・・・!」根性で体を何とか起こす。頭から血が滴り落ちてるが、そんなの関係ねぇ! 「おい、ロン毛! 何勝った気でいるんだ・・・」


 俺の声に気づいて振り返る。「な、なんやと?!」


 「もうよせ! これ以上はホントに死ねっ」


 「一撃で沈めてやる!」


 (!闘魂技発動!)


 「うぉおおおおおおお!」雄叫びを挙げながらキモロン毛目掛けて突っ走る!


 「もうやめんか! 勝負は・・・」


 「どけ山! わしに用があるんじゃ!」あの巨漢を払いどけ、激しくぶつかり合う! しかし惜しくも力負けしてしまい、少しよろける。「終いにしてやるわ!」キモロン毛のスタンガンが首に当てられる!


 「がぁあああ・・・アアアアア! もうこんな電撃! 俺には効かん!」コイツの腕が外れないよう、へし折る勢いで握り込む。


 「ば、バカなぁ!」


 (!闘魂技! !根性の大番狂わせ!) 


 最後の僅かな力を拳に宿し、顔面を殴りつける! 「はぁア!」キモロン毛の顔面に深くめり込む! 1発! 2発!! 3発!!! の拳を喰らわせ、地面に叩きつけた!


 「まだァ! まだ俺のは終わらねぇぞ!」跨って追撃を喰らわそうとするが、邪魔が入って阻止された。


 「これ以上は止せ! おい達の負けだ!」


 「邪魔すんなデカいの! まだ俺は! オレは・・・おれ」頭がぼ~として、なんだか視界が黒に染まっていく・・・

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