第十弐話! 全校集会は毎月第2月曜日8時30分に始まる! 

 4月12日 午前8時47分 和光第二高等学校 体育館


 「ヤバい・・・やらかした」


 昨日再検査を終えて家に帰った夜、家電に留守電が入っていた。会長からで、明日の全校集会で一緒に舞台の上に立ってスーピーチするから、8時前には来るように念を押された。


 まぁこの通りがっつり遅刻して、今体育館の入り口で身を潜めて様子を伺ってる。いつ出たらいいんだろう・・・てか出れるのか?


 「私からは以上なのですがぁ。堂々と遅刻してきた、わが校唯一のヤンキーからお話があるみたいです」


 バレた・・・全校生徒が一斉に振り返って俺の方を見てくる。


 「ど、どうも・・・」


 「日脚! 早く上がって来なさい!」舞台の上の会長から殺気をおびた視線が俺に刺さって来る・・・小走りに隅を通って舞台に上がる。


 「あの・・・遅れてすいー」近づいた瞬間いきなり足を踏まれる・・・


 「私言ったよね、8時前には絶対に学校来てって。今何時?」も、物凄い怒ってる・・・下から目線で圧力をかけてくる。


 「もうすぐ、9時・・・だと思い・・・ます」


 「なんで遅れた?」


 「シンプルに、寝坊です・・・」


 「1週間も寝たのに、どうして寝坊するわけ!」がっ・・・! かかとが足の指にぶっ刺さる・・・


 「す、すいません! もう絶対寝坊しません!」サッカーの試合見なきゃよかった。


 「とりあえず現行教壇にあるから、それ見ながら言って」


 「は、はい・・・」なんとか足をどいてもらって真ん中の教壇まで案内された。


 マイクの下に1枚のペラ紙がある、これ言えばいいんだな。内容は自己紹介と今日までに行った活動の内容が書いてある。活動の内容・・・あぁ、倒したヤンキーの事か。


 「押してるから早く言って!」横から小声で会長に怒られた。


 「えっと・・・」うわ、全員俺の事見てて気持ち悪い。「ひ、日脚です・・・1年の。えっと、あの・・・じゅ、じゅうなんにんか倒しました・・・うん」横目で会長をちらちら見る。


 「もうちょっと具体的に何か言ってよ、これじゃ何言ったのか伝わってないよ!」


 「だ、だってこんな大人数の前で喋ったことないだもん」それに全員蔑んだような目で俺を見て来るし・・・


 いきなり前に出てマイクを奪って「い、以上で生徒会長からお話は終わります! 来週はもっとこの上手にしゃべらせますので」今度はネクタイを掴まれて舞台袖に連れて行かれる。


 「このバカ!」イテテテッ! 急に両手で頬をつねられる! 


 「す、スイマセン! スイマセン!」


 「ヤンキーだからって遅刻していいわけじゃないでしょうが! そのせいでコミショーなスピーチになったじゃんか!」のせいで、蔑んだ目線に拒否反応起こすようになったのもあるけど・・・「ちょっと支持率回復図ろうとしたのに・・・日脚君のせいで台無しじゃんか!」


 「す、すいません・・・来週は絶対にちゃんと喋れるようになります・・・」お、おかしいな、更にぎゅうされる力が強くなってる気がする・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る