第九話! 闘魂技は喧嘩の中で磨かれ、新たな技を生み出す!
「なんだアイツは!」
「馬鹿野郎! あれが3年の言ってた日脚だ、それ貸せェ!」
待ってろ・・・あと少しでお前ら害虫どもを駆除してやる! てっ、あぶねぇ! いきなり前から何かにぶつかりそうになって、立ち止まってキャッチした。ラムネの瓶?
「噂通り馬鹿みたいに反射神経がいい奴だ、おい1年! 相手せいや!」1人の指示で2人の取り巻きがこっちに走り出して来た。
「雑魚は引っ込んでろ!」
(!闘魂技発動! 正確なシュート!)
地面に瓶を置いて、向かってくる奴の顎下を狙って打ち込んだ。発射された瓶は命中通り1人の顎下に当たり、当たった反動で横に跳ねてもう一人の顎下にも命中し2人はその場に倒れる。
まずは2枚抜き! また会長の元へと走りだす。
「マジかよ・・・なにボケっと見てんだ、さっさと行けや!
!」
次から次へと取り巻きが走りこんで来る、でも焦ってるのか統率がとれてなくて、脚が早い奴と遅い奴との間に隙間ができ始めている。その隙間は徐々に開き始め、何とか通れそうだ。
「見えたぜ、ハッキリとォ!」団体とぶつかる瞬間、ヤンキーの隙間に瞬時に入り込む。
「き、消えた!」気づいた時には俺はお前の後ろだ! このままジグザグに隙間を抜け、一気に会長の所までたどり着く。
「この使えねぇアンポンタンどもがァ!」男が会長の手を離し殴りかかって来る。
「今だ!」瞬時に向かってくるパンチをスライディングで股下から抜けて会長の前に盾として立つ。「早く中に入って!」これ以上会長を危険な目に会わせない為に学校の敷地に入るよう急かす。
「う、うん」会長が入ったのを見計らって俺も敷地内に入った。
まずは会長と久しぶりに再会した喜びを分かち合いたいが、そうはいかないよな。かわしてきた不良たちがぞろぞろと正門前に戻って、明らかにリーダーぽい金髪が踏み越えて敷地内に入って来る「いいのか? 他校に無断で入ったら退学になるんじゃなかったっけ?」
「それももうすぐ旧時代の遺物になる、この新井真澄の作る新世代には、必要のない物だ!」
新井真澄・・・コイツ前の3年とは違う。「前のハゲたちはどこ行った?」
「ハゲ・・・か、あの御方をハゲ呼ばわりとは、気に入らねぇ奴だ!」
「上等だ! ヤンキーは一人残らずぶっ殺してやる!」このまま金髪とのタイマンが始まった。
金髪が距離を詰めて来て、重そうなパンチが俺に飛んでくる。スピードも速く、あのハゲに引けを取らない。だが俺もやられる訳にもいかない、病み上がりのハンデを背負いながらも何とか左にかわす。
「甘いわ!」避けたはずのパンチが裏拳として進路を変え、右頬に命中した。
「ぐっ!・・・」読まれた!? 何とか倒れないよう踏ん張る。
「大河さんの言った通り、素早いが単調な動きだから先を読めば当たるってな!」
「がはっ!」蹴りが腹に命中して後ろに吹き飛ばされ、更に追撃してこようと追って来る。すぐに起き上がって奴のパンチを手で受け流した。
避けてもまたすぐ次の攻撃が来るならいっそ受け流したが、これは少し手ごたえありか? 「さっきと何も変わらんわ!」再び進路を変えた裏拳がまた頬に当たって後ろによろけた。
これもダメか。ひたすら避けて疲れた瞬間に殴る作戦じゃこいつには通用しない、根本から変えないと勝てない! 「ならこれでどうだ!」向かってくるパンチに重ねる形で俺もパンチを打った。拳から体に向かって痺れるような衝撃と痛みが走る。けど奴も同じで衝撃で瞬時に次の攻撃が出せなくなっている。
「今だ!」奴のこめかみに向かって後ろ回し蹴りを食らわせる!
「うっ!」よっし! 初めて奴に命中した。けど奴はまだ立ったままだ。
「ならもう一発!」顎目掛けて脚を蹴り上げる! 歯と歯がぶつかる音を発しながらその場に膝を着いた。
「日脚君!」一息付けそうな時だった、会長の場所を探そうと辺りを見回すとコイツが連れてた1年に連れ去られそうになっていた。
「おい何しやがる!」急いで駆け付け1人に飛び蹴りをかまし、後ろに吹き飛んだ。そして会長の前に立って囲んでる奴らを引き剥がし、「避けて!」指示通り会長の頭が右に倒れ後ろにいたのヤンキーの顔面をパンチを入れる。
「こっち!」倒れた隙に会長の手を引っ張ってなるべく離れた場所まで連れて行く。振り返ると1年共が追ってきてる、「しつこいんだよ!」追ってきた1人に走ってタックルを浴びせて、そのまま倒れた。続けてやって来た1年も、1人ずつ相手する。
「はぁ・・・はぁ・・・二度と起きやがってくんな」所詮は入学したての1年、実力は3年やこの金髪程じゃなかったのが唯一の救いだ。「終わった~」後はコイツらの学生証を取るだ・・・
「まだ終わってねぇよ! クソ坊主が!」
(!闘魂技発動! 締め上げプレス!)
背後から突然現れた金髪に首に腕を回され締め上げられる。
「お、お前・・・!」
「地面とキスしな Baby!」身動きが取れないまま体が段々地面に吸い寄せられ、そのままプレスされる形で金髪に押し潰される。
「お前ふざけんな・・・早く・・・どけや!」息が苦しい・・・なんでまた同じ目に会わなきゃいけないんだ・・・横腹を肘で突くが一向に弱まらない。
「無駄だ、大河さん直伝の締め技だ! 誰一人抜けた奴はいねェ!」
「ふ、ふざけ・・・!」更に強い力が首に加わる・・・落ちないよう必死に抗うのが精いっぱいになって来た・・・
「へへ安心しーや、お前の
このオカマ野郎が・・・「はい、そうですかって素直に貸すわけ・・・ねぇだろうがァ!!!」
(!闘魂技発動!)
両手を地面に付け、残った力をフルに出し切って体を起こしてやる!
「バカなァ・・・う、浮いただと!」
死に物狂いで体を浮かせ、右足を地面に重ね合わせ「クソったれ・・・がァァァァァァァァ!」雄叫びを上げ、何とか立ち上がろうとする!
「そ、そうはいくかよ!」後ろの金髪が地面に足を付けて邪魔しやがる!
「俺に抗うな!」半分まで行ったところで片方の足で奴の邪魔な脚を蹴る!
「クソが!」蹴られてバランスを崩し倒れ、絞められていた腕が首から離れた!
「くたばれクソ野郎!」
(!闘魂技発動! ごろつきの落とし!)
完全に立ち上がった所で振り返り、うつ伏せに倒れた金髪の腰目掛けて全体重が足で踏み込む!
「よせ! やめろアァアァアァアァアァアァ!!!・・・」一撃を食らった金髪は苦痛の叫びを上げながら気を失った。
「はぁ・・・はぁ、くたばってろカマ野郎」今度こそホントに終わった・・・肩に入った力が一気に抜けて楽になった。
「日脚君!」突然背後から抱き着いてきた。
「ちょ!」振り返ると泣きじゃくって鼻水が垂れそうな顔の会長がいた。「お、お久しぶり・・・です」ほっぺたにはデカい絆創膏が貼ってあっる。「その傷どうしたん!?・・・ですか」途中で俺の胸に顔をうずめて号泣し始めた。
「お、俺ならもう平気っすよ! 心配してくれてありがとうございます、コイツらが起きる前に学生証取りたいんですけど・・・」
「ぷっンンンン・・・!」
「ギャアァアァアァアァ!!!」なんかねちょねちょした生暖かい物が胸にぶちまけられた・・・
「ごめん・・・つい」正体は会長の鼻水だった。
「ついじゃないっすよ! アンタなに人の服で鼻かんでんすか!」最悪だよもう~! これ一応クリーニング仕立てなのに・・・イテッ! 今度はなに、オクトコの缶? なんでまた?
「ふざけんな1年!」校舎の方から聞こえる。
「なんで戻って来たんだ!」
「アンタがいたらまた不良きちゃうでしょ!」
「あのまま一生目覚めんな!」声の正体は窓から高みの見物をしていた生徒からの心無い罵声だった。
「なんだよ、せっかくお前らの為にやってやったのに、なんでこんな事言われなきゃいけないんだよ!」
「ごめん・・・それも全部私のせいなの」
「どう言うことですか」会長が?! なんで、意味が分からない。
「イエース! その通り!!!」突然耳に突き刺さるような高い機械音が聞こえたせいで、ガヤも含めて静かになった。
「誰だ!」声は正門からだ。
「どうも皆さんハローニーハオこんにちわ! 西高から来ました、喧嘩つよつよギャルマシマシ系インフルエンサーのばななちゃんでーす!」
ば、ばななちゃん・・・?
「今日の動画は・・・ドカ!バキ!本田日脚をシバいて土下座させてみた~」
「な、なに?!」シバいて土下座させてみた???
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