第四話! 闘魂技を解放させたモンは一気に喧嘩が強くなる! 

 チッ......まだみぞおち辺りがズキズキしやがる。俺は重たい体を引きずってなんとかゴミカス3人奴らがいる、駅前のバーガー屋メックスに着いた。昼時で店は大変忙しく、外にまで列が出来ている。


 これじゃ店に入れないな......なんて安易な考えは今の俺には持っていない。列を崩す勢いで強引に店の中に入る。店内は癖になりそうなジャンクフード特有の匂いと客と店員の入り混じった声が店中に充満している。


 どこだあの野郎......いた! 奥のソファー席でバカ丸出しのツラで談笑している。俺はすぐにそいつらの元に駆け寄った。


 「でさ~そいつがさ......あ?」俺が席に着いた瞬間、こっちの存在に気が付いて会話が途切れた。


 「なんだお前!」


 「また俺たちにやられに来たのか、アン?!」同伴の顔立て役共ザコには目もくれず、ひたすらパンチパーマを睨み続ける。


 「なんだよ、お前の2千円ならもうねぇよ」机の上のポテトをつまみながら俺に言ってきた。こいつはパンチ頭店で一番高い醤油が絡んだ分厚いチーズバーガーのLセット、同伴の顔立て役共ザコは一番安いチキンマヨバーガーのMセットか。


 「人の金でこんなに買いやがって」俺はトレーに出されたポテトを鷲掴んで、パンチ頭の顔面に思いっきり投げつけてやった。


 「お前兄貴に向かって!」


 「殺されてぇのかアン!」同伴の顔立て役共ザコは黙ってろ!


 「お前俺の食いモン粗末にしてん......」


 「俺の金で買った物だ、俺がどうしようが俺の勝手だ」


 「今はちげーよ、俺の金......」こんなもんじゃ収まるわけがない。奴の飲み物を自慢のパンチパーマにぶちまけた。


 「てめぇ!」こいつの蹴りを食らって後ろに飛ばされ、ゴミ箱に背中をぶつけてしまった。


 「イッテ!この野郎がァ!」


 パンチ頭はそのまま俺の制服の胸倉を掴みながら「まだ殺され足りないようだなコノヤロウォ!  今度こそ息の根止めてやる!」外まで続く列崩す勢いで店の外まで連れ出された。


 「上等だよ!」パンチ頭に掴まれていた手を解いて、奴の左頬に一発全力のパンチを食らわせる。「俺じゃなくお前の息の根を止めてやる!」思いもよらぬ一撃を食らったパンチ頭はよろめき、とっさに後ろに下がり距離を置く。


 「この1年が......」恨みを持つ目で俺を睨む。


 「殴られて文句あんのかァ! 俺はいっぱいあるぞォ!」


 「うァアァアァアァアァアァア!」雄叫びと一緒に走り出し、俺の顔面目掛けて殴りかかって来る。とっさに体を横に捻り避け、パンチ頭の一撃は空振りに終わる。


 「なに!?」避けた後、また殴りかかってきたのでさっきみたいに避ける。「クソが! 避けんな!」必死に何度も殴りに来るがその度に俺はよけ続けてやる。


 「く、クソ......当たんねぇ」遂に息が切れてへばったみたいだな。


 「なんだよ、もう終わりかよ」疲れ切って前のめりになっている奴の顔面に右脚の蹴りを入れる。


 「ふごォ!」鈍い音共に奴の鼻から血が出た。


 「まだまだァ!」そして間髪入れずに顔面を殴る。「俺の痛みは」1発で終わらせん。「こんなもんじゃ」何度も殴り続け。「晴れねぇんだよ!」そして最後はパンチパーマを掴んで顎にアッパーを決め、そのまま地面に倒れこんだ。


 「はぁ、はぁ、はぁ」少し体力落ちたかな......サッカー部で鍛えた体力をすべて使ってしまった。


 「あ、兄貴......」店前でポテト片手に見ていた同伴の顔立て役共ザコが目の前で起こった状況の理解が追い付かない顔で立っていた。


 「いっちょ前にポテトなんか食いやがって、だからお前らは雑魚のままなんだよ!」


 俺が振り向くと「ヒィッ」と肩を寄せ合い怯える。


 「次はお前らだ、パンチ頭と同じ思いをさせて......」駆け寄ろうとした時、背後から肩を掴まれ、強引に体を回転させられる。


 「あ、兄貴ぃい!」その正体は顔中傷だらけのパンチ頭だ。


 「なッ?!」


 「1年なんかになめられちゃ......3年のメンツが立たねぇんだよ!」


 (!闘魂技発動! 18!)


 両手で俺の頭を掴み、勢い良くデコに頭突きを食らわされた。


 「グハッ......!」骨にヒビが入ったかのような激痛。視界が霞んで耳鳴りが酷く頭の中でこだまする。やがて意識が落ちかける......


 ここまで来て......負けるのか、俺。あとちょっとで......こいつに勝てたのに、おわ......り......か、


 「流石っす兄貴!」


 「やっぱ俺たちの兄貴は兄貴しかいないっす!」


 ............やっぱここで終わるわけにはいかない!!!


 

 (!闘魂技発動!)


 倒れ行く反った体を脚で必死に踏ん張り、倍以上の頭突きをパンチ頭に食らわす!


 「オラァ!」


 「グホッ!」 


 今だ! 後ろに離れた隙に姿勢を低く、右脚を大きく頭より高い位置まで後ろに引く。


 「「兄貴!」」


 「くたばれパンチ頭!」


 (!闘魂技! !)


 引いた脚を勢い良くパンチ頭の股間に食い込ませる。悶絶するパンチ頭、顔が青ざめ、脚はくの字になり、やがて立っていられなくなって白目を向きながら倒れこんだ。


 「あ......兄貴ィイ!!!」




 同日 午後12時46分 埼玉埼玉県立和光第二高等学校 3階生徒会長前


 はぁ......非常に後悔してる。


 非常にヒジョウにひじょう~に後悔してる。


 なんて私は後先の事をこうも考えないんだ!


 「その通りですね。あなたはもう少し頭を使ってみてはいかがですかな」


 え?「う、うわぁ! 、じゃなくて校長先生・・・」おどかさないでよ......


 「生徒と距離が近いのも考え物ですね。私を校長と認知されなくなるとは」


 「今のはその......校長がびっくりさせるのが悪いんですよ!」


 急に私の前に現れたふくよかで優しそうなおじさんは品川校長先生。七三分けの銀髪で口髭を生やしていて、いつも高そうなあずき色のスーツを着ている。もう10年もこの学校の校長を勤めている大ベテラン。


 「私はただ、様子を見に来ただけなのに......」そんなお茶目な目をしないでください、反応に困ります......


 「見ての通り元気に真面目に業務に取り組んでいます!」ホントは座りたいしお腹も空いた......


 「はぁ、全く」勝手に生徒会室に入ってパイプ椅子を取って戻ってきた。「心の中では最初にこれ椅子を広げておけば良かったと思っているね」


 「ゲゲッ!」完全に読まれてる......


 校長先生が椅子を広げたので、仕方なくその椅子に腰を降ろす。「昼食ダッシュで買って来いはなしですからね!」ぜひ顎で使ってみたいもんですね、シナちゃん。


 「で、授業をボイコットしてまでやった募集の方はどうですか」


 立ち上がって、3本指を立て校長に「3人! 前向きに検討する生徒がいました!」堂々と前向きに


 「......3人ですか」


 「えぇ、3人です」


 「誰と誰なのですか」


 「1年の佐々木拓と大迫紫音。2年の豊島優紀の3人です!」


 「ほぉ、3人もですか」6人にしとけばよかったかなぁ......「後ほどその3人には個人面談呼び出しをしないといけませんね」


 「な、なんでですか? 私の生徒を横取りしないでください!」


 「な~に、ちょっとしたですよ。ハハハ!」このオヤジったらもう......高らかに笑う校長先生。その笑い声は廊下中に響きわたる。


 そんな中、笑い声に交じるように階段から誰かが上がってきた、私は校長のお腹を避けるように音のした方を見た。


 「......! ちょ、先生! 先生!」私は思わず立ってしまい、校長に振り向くように促す。


 「なんだね......!」私と同じ反応リアクションだ。服は血と靴の跡でボロボロ。顔は所々腫れて唇が切れて、鼻血の跡もある。「き、キミ!」間違いない、これは、ボコボコにされた跡だ!


 「だ、大丈夫かね。その傷、早く保健室で見てきなさい!」一目散に生徒の所に駆け寄った。てか、よく見たらさっき冷やかしに来た1年じゃん......きっと下校中にやられたんだ。


 「あ~もう......」見てるとだんだん自分が嫌になって来る! じゃなかったら、彼はこんな思いしなかったのに。今の私じゃなかったら、この学校がカモ高と呼ばれずに済んだのに......あ~憎い、憎い憎い憎い! ......


 「おい」はぁ......なんで私に闘魂技がないんだろう。自分で言うのもなんだけど、口は悪いんだけどな......


 「おい!」


 「うっせぇなぁ! なに!......」え、えええええええええ! なななんでボロボロの1年にこんな至近距離で睨まれるの?! てか痛い痛い痛い痛い痛い! キスするぐらいの距離で肩ぎゅう......されてる! 肩鷲掴みでギュウされてる!!!


 「なにか御用でしょうか?......」なんか今にでも殴られそう、お前のせいだー!って、私絶対この後殴られるよ絶対! 女の子には優しくって、お母さんに教わらなかったの? てか、校長助けろや! なにそこでたっとんねん! ボケ!


 「2年の増田って野郎はどこだ」


 「え......?」増田? あのメガネの増田?


 「俺なァ......アイツに売られたんだよ! なにが裏門にはヤンキーはいねぇだ、バリバリで待ちされてたわァ!」


 「ま、増田君がそんなことするははずがありませんです。大人しい子なので......」私が言い終わると、ポケットからなにかカードのような物を地面に投げつけた。


 「こいつらが口そろえて2年の増田って言ったんだよ!」


 「な、ナンデスカこれ?」私は地面のカードを見た。


 「ナンデスカって奴らから差し出された学生証戦利品だよ」


 「な、なんでそんなもん持ってるの!」


 「なんでって、俺がボコしたからに決まってんだろ!」まさかの加害者!


 「被害者だ!」なんで読まれた!


 「てかアンタ増田の彼女だろ! 裏で他校のヤンキーと繋がって生徒売ってたんだろ! 言え、増田の居場所を!」


 「何処にいるかなんて知らないし、ヤンキーとも繋がってないし、増田君の彼女でもありません!」ら、埒が明かない。彼ずっと威圧的な態度で攻めてくるし、その後ろにいる校長は立ち往生して使い物にならないし......もうだれか何とかしてぇ!


 「あ~うまかった~」ま、増田! 水の流れる音と共に男子トイレから出てきた。


 「やっぱ駅で売ってるヒレカツサンドは格別だな。トイレで食えばゴミの後始末も流して、ポイ。らくらくチン」やだ......便所飯してるなんて信じらんない......


 「あ」こっちと目が合った。


 「増田てめぇコノヤロウォ!」目が合った瞬間、颯爽と私を捨てて増田のいる方に全力ダッシュ。不運な事に増田の後ろは理科室、授業以外では開くことのない特別教室。


 「や、やめ......」すぐに追いつくと、ダッシュから空中に飛んで、助走をふんだんにつけた飛び蹴りが胸辺りに命中した。


 「グフッ......」


 「テメェよくも俺を売りやがってコノヤロウォ!」増田の胸倉を掴んで持ち上げ、そして地面に叩きつけてひたすら蹴り始める。


 「ごめんなさい......許して......許して......」必死の命乞いも「誰が許すか!       死んで詫びろ! 死ね! 死ね!」増田の謝罪が1年の無茶な要求によって潰される。


 「ごめんなさい、死ねません......死ねません......」


 な、情けない......「でも、」


 「は、早く止めねば! 増田君が死んでしまいます」ようやく見つけた......


 「ヤンキーを!」


 「こ、こんな時に何を」


 「見つけたんですよ! 今目の前に! わが校初のヤンキーが!」


 「そ、そんなことを言ってる場合かね! 早く止めないと増田君の見えちゃいけない部分が見えてしまいますよ!」


 「いいじゃないですか見えても、彼は今それ相応の報復を受けてるとこなんですから」これでやっと・・・私、石浦瑛馬の計画野望が今動き出すのだ!


 「クククッ......ハーハハハハーハーハハハハー!」


 「笑ってる場合ですか! とめ、」


 「アァァァァァァ!」


 「テメェ、なに見せちゃいけない部分見せてんだ! ぶっ殺すぞゴラァ!」


 死人が出るのは計画に入っていない止めなきゃ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る