#044 スライム頑張る

 スライムのレア個体をテイムできた。こいつならレベル上げいけるかもしれない。今度はカッコイイ名前にしよう。


 『おまえの名前はスラッペだ!』

 『ぷるぷるーーー』


 ミドリの命名センスは壊滅的だった。


 ■■ステータス■■

 名前:スラッペ(年齢性別不明)

 種族:スライム

 Lv 1

 HP 3/3

 MP 2/2

 固有スキル:耐性 Lv1(物理小)

 スキル:捕食 Lv1

 スキル:幸運 Lv1


 耐性が物理ということは打たれ強いということだよね。別のスライムを見つけてスラッペをけしかける。


 「いけ!スラッペ」

 「ぷるっ!ぷるるーーー」


 スラッペはピョンピョンはねながら別のスライムに向い、ポカと体当たりをする。相手のスライムもスラッペにポカっと体当たりをする。そこからいつもの泥仕合が展開されること5分、相手のスライムの動きが鈍くなってきた。


 「ぷるーーー!」


 スラッペがとどめとばかりに大ジャンプからの体当たりをかますと、相手のスライムが動かなくなった。スラッペはプルプルと震えるとバッと風呂敷状に広がり相手のスライムを包み込む。そして波打ちながら元の形に戻っていき、プっと魔石と銅貨を吐き出した。


 物理耐性のおかげでスラッペのHPは減っていなかった。その後スラッペにスライムを捕食させ続けること4回、スラッペは魔石と銅貨以外の何かを吐き出した。コロコロと転がった水滴のような形の水色の物質をコレットが指さす。


 「あー、それスライムの涙だよぉ」


 ずっと狩り続けても出なかったスライムのレアドロップがやっと出た。レアすぎだろ。薬の材料としては一個あれば十分らしくマリーは満足して、スラッペをナデナデしている。マリーさんの手のひらクルックルである。今回の勝ちでスラッペのレベルが2に上がったので、もう他のスライムに負けることはないだろう。次々とスラッペに他のスライムを捕食させていった結果。


 ポーン♪


 効果音とともに画面が表示される。


 [スラッペが進化してミドルスライムになりました。スキル【擬態】を獲得しました]


 ■■ステータス■■

 名前:スラッペ(年齢性別不明)

 種族:ミドルスライム

 Lv 1

 HP 20/20

 MP 18/18

 固有スキル:耐性 Lv2(物理中)

 スキル:捕食 Lv2

 スキル:幸運 Lv2

 スキル:擬態 Lv1


  スラッペがミドルスライムに進化して、膝ぐらいの高さだったのが腰ぐらいの高さまで大きくなった。新しく【擬態】も取得した。コレットとマリーがデカいスライムに驚いている。


 「おっきいけど、ぷよぷよ感は同じだー」

 「面白いわね。もっと大きくなるのかしら」


 スラッペが順調に成長したので2階層に進んだ。2階層の魔物はいたずらモグラ。モグラをデフォルメしたような魔物で、ちょっと可愛い。心を鬼にしてミドリ達が剣で弱らせたところをスラッペに【捕食】させていく。いくら倒してもいたずらモグラはテイム出来なかった。そして次の階層への入り口に到着したので3階層へと進む。


 3階層から複数種の魔物が現れるようになったが、あまり強くない。ここからはフーコに乗って一気に7階層まで進む。ギルドで買った地図を見ながら町への最短ルートを突っ走る。途中に村が点在してるので寝泊りに苦労はしなかったが、一つの階層を進むのに大体二日程かかったのでダンジョンの広さが大陸並みという話も誇張ではなさそうだ。階層が深くなるにしたがって魔物も少しずつ強くなっていく。まるでレベルアップしやすいようにバランスが調整されているように感じた。


 そして7階層になって現れたのはゴブリン。こいつらはダンジョンにもいる。ミドリたちはフーコから降り慎重に進む。しばらくするとゴブリンの集団がラプタの索敵に引っかかった。


 ゴブリンソルジャー、ゴブリンウォーリアー、ゴブリンアーチャー、そしてゴブリンメイジ。危険な上位種はいない。ここからがダンジョンの本番、準備は万全だ。


 「よし、やろう」

 「がんばるぞー」

 「まかせなさい」

 『みんな、がんばるぽ』

 「みな、ごろしギャ」

 「ぷるぷるーーー!」


 初めての対集団戦闘が始まる。


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