#037 ミドリ探検隊とUMA
ミドリ達は慎重に鍾乳洞の奥に進んだ。鍾乳洞はかなりの規模で複雑に分岐してるので全容を掴むのには時間がかかりそうだ。とりあえず歩けそうな一番大きな坂道を選んで下っていく。三時間ほど進むと巨大な空間に出た。サッカーのフィールドが10面は入りそうな巨大な空間の真ん中には湖があった。凄く透明度の高い水で、かなり深いところまで見えるがそれでも底は見えない。
マリーが湖の水をすくって確認する。
「信じられない。これは魔力水、マナポーションの原料よ。かなり濃度が高いわ」
ただの水じゃないらしい。
「長い年月をかけて魔力が水に溶けこんでるのね」
「こんなの知られたら世界中の薬師が殺到するよー」
ミドリはふと思った。
「強い魔物って魔力が濃いところに住むんだよね?ここは危険じゃないの?」
「いいところに目を付けたわね」
マリーがコホンと一息ついて説明する。
「魔力はどこにでもあるけど性質があるのよ。いろんな説があるけど一般的には正と負に分けられるわ、聖と邪に分ける学者もいるわね。人が住む場所は正と負の魔力が混じりあった中立状態、魔の森は奥に行くほど負の魔力の割合が多くなるのよ。そして、ここには正の魔力が満ちているわね。負の魔力を好む魔物には厳しい環境、天然の結界といったところかしら」
だから魔物がいないのか。このあたりを拠点にするのも悪くない。
コレットが【時空庫】からサンドイッチと紅茶を取り出し、昼食にする。ラプタにはココミッツクッキー。
「そういえばラプタは大丈夫なの?ここの魔力」
「正の魔力が満ちた場所を好む魔物もいるわ。ラプタはきっとそういうタイプね」
『その通りぽ。主、ゴブリンやオークと同じにしないで欲しいぽ』
「ごめんごめん」
お詫びにココミッツクッキー山盛りサービスだ。
「なんか餌でつられているような気がするぽ」
といいつつクッキーを頬張るラプタが可愛い。そんなラプタを眺めていると、ピクッと反応した。
「主、遠くに複数の反応ぽ。湖の向うの横穴からこちらの様子を伺っているぽ」
そーっと見ると、暗闇の中できらりと光る眼が複数。あわてて全員が装備を整え警戒態勢に入る。コレットが松明で暗闇を照らすと、見たことある生き物がコチラをジーっと見つめていた。
「みんな、あれ・・・」
「あー、あれメガバードだよ!」
「町でもよく見かけるわね」
よく冒険者が乗ってる騎乗型魔物の定番。前世の地球でも恐竜時代に似たやつがいた。たしか恐鳥類と言ったか、とてもロマンを感じる魔物だ。メガバードが潜んでる横穴は巣穴?もしかしてここはメガバードの生息地?正の魔力が満ちてる場所に住んでるということから危険な魔物ではなさそうだ。
「仲間になってくれないかな。めちゃくちゃ乗りたい」
「魔物屋で買うと家が建つほどのお金が必要らしいわよ」
「そう。とーっても高いんだよ」
それだけ手懐けるのが難しいってことだろう。無理かな?
「ギャ、ギャ」
『主、ココミッツクッキーが欲しいと言ってるぽ』
「ラプタ、言ってることが分かるのか?」
『同じ鳥型だから、なんとなくわかるぽ』
ミドリはココミッツクッキーを取り出すと掌に載せて魔物に見せる。一羽のメガバードがダッシュで駆け寄るとミドリの手ごと咥える。
「うわっ」
ミドリは手を引き抜く。
「ギャ、ギャー」
『主、もっと欲しい言ってるぽ』
ミドリは木の皿を取り出しクッキーを盛る。他のメガバードも寄ってきてガツガツとクッキーを頬張る。大人から子供まで全部で13羽のメガバードが仲良さそうにクッキーを頬張ってる姿はホッコリする。おかげで【クラフト】で沢山溜めてたクッキーは殆どなくなった。ラプタ悲しそうな顔をしないで、頑張って【クラフト】するから。
クッキーを食べ終わると、最初にミドリの手を咥えた大きなメガバードが近寄ってきた。改めて他の個体と比べるとかなりデカい、ビッグボスかな。ボスと見つめ合う。
ポーン♪
効果音とともに画面が表示される。
[ギガバードが仲間になりたそうにしている。クランに加えますか?]
(マジで?クッキーすごい。Yes!)
[ギガバードをメンバーに登録しました。固有スキル【飛翔】を付与します]
■■クラン Lv2■■
【メンバー】 5/10
ミドリ Lv16
コレット Lv17
ラプタ Lv9
マリー Lv19
ギガバード Lv20
■■ステータス■■
名前:未定(15歳メス)
種族:ギガバード
Lv 20
HP 88/88
MP 63/63
固有スキル:疾走 Lv4
固有スキル:飛翔 Lv1(超低空)(※New)
スキル:風魔法 Lv3
言葉通じるかな?念話で話しかけてみる。
『名前はフーコだ』
『よろ、しくギャ。走る、得意ギャ』
よかった、片言だけど会話できそうだ。フーコはミドリに頭をこすりつける、もふもふだー。
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