達の手記

現実のものだから

『まあでも、あれ、三階だったか四階だったかだと思うから、本当に飛び出してたらそれこそ『この世から自由に』なれてたかもね……』

玲那（れいな）のその言葉は、あまりにも重すぎるものだった。

だけど彼女が経験した苦しいそれは現実のものだから決して＜なかったこと＞にはならない。だからこそ僕も彼女と一緒にその現実を受け止めなきゃと思う。一緒に背負っていきたいと思う。それが彼女の親になることを選択した僕自身の責任だろうな。

そしてその責任を負う覚悟を示していくことこそが僕が親として子供達に対して見せていかなきゃいけないものだと思うんだよ。