赤ん坊に比べれば

僕の膝に座るようになった当時の沙奈子さなこは小学四年生で、過酷な環境だったのもあって標準よりはかなり体が小さかったけど、赤ん坊に比べればずっと大きいし重かった。


それでも僕は、沙奈子が望むならとそれに応じたんだ。


そういえば最近は、<グルーミング>というのが問題になってたりするらしいね。子供を<欲望のはけ口>にするために自分に懐かせようとして<優しいふり>をするというのが。


もちろん欲望のはけ口にするために優しいふりをするなんて僕も憤りしかないけど、そんなのが通用してしまう場合があるというのが悲しいよ。


だってそれは、


<嘘の優しさにさえ縋るしかない子供>


がいるってことだからね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る