僕の膝に座って過ごした

沙奈子さなこはそれこそ中学生の頃まで僕の膝に座って過ごした。


彼女が僕を認めてくれてからずっと。それはきっと、今の玲緒奈れおなが当たり前のように僕の膝に座ってくるのと同じだったんだと思う。幼い頃にそうできなかったのを取り戻そうとしてたんだろうな。


僕も、沙奈子がちゃんと命を持った人間なんだっていうことを、そのおかげで実感することができた。


当然だよね。実際に体温と鼓動を感じ取ることができるんだから。それでもなおそこに命を感じ取れないとしたら、むしろ何か病的なものが潜んでるんじゃないかとさえ思うよ。


恐ろしささえ感じる。


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