結人が悪い

いつもとはまったく印象が違う沙奈子さなこの言葉に鷲崎わしざきさんも一瞬、頭が働いていない様子だった。


でも、


「あ……あ、いやいや、沙奈子ちゃんは悪くないから! これは結人が―――――…」


と口にしかけて、だけどハッとなった表情で、鷲崎さんの頭の中で何かがよぎるのが見えた気がした。そして涙を溢れさせて、手で顔を覆って、


「ごめん…! ごめんね結人…! 結人は私を守ろうとしてくれたんだね…! それなのに私……!」


って、声を詰まらせながら口にして。


彼が自分を守ろうとして喜緑きみどりさんに飛び掛かってしまったことに気付いてしまったみたいだね。


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