第71話 錬金術のエトセトラ

「貴方の師匠って本当に人間なの?」

「…………」


 さあ? 用務員おじさんが共にいた年月の間、一切歳を取っている感じがしなかった事は事実だ。

 人間な訳ないだろうと言われても普通に信じてしまいそうになる感じはある。

 …流石に今はそれなりに歳くってると思うけど。


「まあ私の師匠の話はここまでにして、錬金術について話をしましょうか…」

 師匠の話とかしだすと長くなるだけなので今は話を元に戻す。


 この世界の錬金術も地球で言う所の錬金術、ぶっちゃけほぼ別の代物であるが似てる部分もあるって感じ? っと言うか地球産の錬金術、阿呆な部分が多すぎるんだよ。


 地球産の錬金術が何かしらの別金属から黄金を作ろうとしたり水銀を不老不死の薬とかぬかしたりと阿呆な歴史があるしな。


 ぶっちゃけそれが本当に可能なのがこの世界の錬金術である。要は物質を分子や原子レベルにまで細かくして、それを再構成する事で世の中にある大半の物は生み出せますよ~って言うトンでも錬金術だ。


 更にここに魔力を更に細かくした魔元素エレメントとか魔霊素エーテルとかが干渉して来ると本来この世に存在しないぶっ壊れ性能のチートアイテムまで生み出せるのである。


 夢想、空想、想像の産物すら現実世界に姿形を与えて物質化する。それがこの世界の錬金術だ。


 地球産の錬金術も何かを別の何かに変えようとした代物なのでその辺りは実は本質的には同じと言えるかも知れないが、ただ向こうにはファンタジーが足りなかった、それだけの話なのだ。


「無論私の錬金術のレベルでそこら辺の石ころを魔霊素にして黄金を生み出せるなんて真似までは出来ません、どうしても作りたい物があるのなら特定の素材が必要になります。無論物によっては代用も可能ですけど…」


 ゲームでさ、作成難易度が低いアイテムってレシピが複数あったりするじゃん?

 そして難易度が高いヤツはレシピが一つしかないって言う、あの感じである。


「まあ神様とかならそこら辺の石ころやゴミからでも人間を生み出せるのかも知れませね。或いは無から全てを……しかし我々は神ではないのでそこまでは出来ません」


「………けど、材料さえあれぱあの死体を再生して蘇生出来るのよね?」


「はいそれは可能です」

「……………それは人間の領分を越えていないのか?」


「人間の領分を決めるのは私ではありません、助けられるのなら助けたいと言うだけです。もちろんこのポーションにも限界はあります、死後せいぜい十日がこのポーションで助けられる人間の期限ですから」


「「……………」」


 白衣の二人が黙る、何やら思案してる顔だ。


「説明を続けます、つまりはこの世界の存在は全て同じ物で構成され、形作られる。ならその大元のそれに干渉すれば大抵の物は作り出せると言うのが錬金術です」


「その大元とは一体なんなの?」


 う~ん師匠は『可能性の塊』とか『混沌の坩堝るつぼ』と言ってたけど、これらが様々な要因と合わさる事で物質の元である原子やら電子やら分子やらが出来るのだそうだ。様な何でもありのチートパワーの源的なもんだろう。


「仮にそれを星の構成霊素スターアライアンスとでもしましょうか」

「星ですか……素晴らしいネーミングセンスですラベル様」


 ありがとう元は星界女帝アストラルエンプレスさん。この着物メイドさんの存在も手伝い混沌とか言う腐ダマが操る魔物を連想させるヤツは無しにした。


 スターの方が格好いいじゃない。


「ふむ~正直私には難しいぞ…」


「つまりはこれからポーションを作ります、その材料も全て揃えてあるのでそれをあの釜に入れて分解、そして再構成してポーションにしましょうって事です」


「………要約し過ぎじゃないかしら?」

「成る程…理解した!」

「え?」


 エコーが愕然とし、ラナミスは我が意を得たりと言う顔をしている。さてっそれじゃあレッツアルケミックである。

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