第70話 白衣の二人
よしっここをおじさんのアトリエと名付けよう、無論心の中でだけな。
用務員おじさんは早速おじさんのアトリエにて行動を開始する。
「ラベル様、錬金術をするにあたり新たな助手をご用意しました」
「…助手?」
「はいっ二人ともこちらへ」
「「ハッ!」」
リエールの言葉を聞いて現れたのはエコーとラナミスであった。
しかし今はその出で立ちが違う、さっきまで顔こそ出していたが紫色の鎧をキッチリ着込んでいてさながら女騎士の様な感じだった。
それが今は共に上は白シャツ上にファンタジー世界特有とでも言えばいいのか、装飾として金糸による細かい刺繍が施されてる白衣を着ていた。
下は紺のタイトスカート(こちらにも刺繍あり)に黒のストッキングとヒールをはくという、正にファンタジー寄りの保険の先生とか女性医師的な見た目である。
「え? あの鎧の姿以外にもなれるんですか?」
「当然だ……です、あの鎧もそうですが。我々の姿は魔力を持って形作られる代物、その姿形は幾らでも変える事が出来……ます」
「まあっ存在の核となる物質は変えられないからこの姿でも体内に隠してあるのだけどね」
そう言えば、
「それは他の紫骸鎧も同じ事が出来るんですか?」
「無理ね、他の子達は核となる物以外の鎧も普通に存在してる物を使ってるから」
「全てを魔力だけで用意する事が出来るのは紫骸鎧の中でも上位の力を持つ団長と私の二人だけだ、アイツらもより成長すれば話は別だが……ですが」
「成る程」
ゴーストが成長とか一瞬ギャグを言ってるのかと思った。
成長も何もおたくらとっくに死んでる設定じゃないですかと。
「ラベル様、私達三人がその錬金術のお供を努めます、よろしくお願いします」
「ありがとうリエール、それじゃあエコーとラナミスにも助力をお願いしますね」
「「はい!」」
上司のリエールを呼び捨てでエコーとラナミスをさん付けではリエールの顔を潰す事になるので今後はこの二人も呼び捨てでいこう。
まあ二人きりの時とかは違うかも知れないけどね。
早速錬金術についても話をするか。
「まずは助手と言う事で、そもそも三人は錬金術についてどれくらい知っていますか?」
「「「…………」」」
「……………え?」
三人は共に目を背けた。
ウソだろう? 錬金術します、助手しますって言ってんのに何の予備知識も無し!?
思わずあ然としてしまう、しかし少し考えて理解した。
恐らくリエールだ、彼女が少しでも有能メイドさんアピールをしたいが為に部下二名を巻き込んで前々から準備していたんだろう。
あの二人の女性医師みたいな服装の気合いの入り方が違う、きっと細部に渡るまで細かい作りをリエールに散々指摘とかされたんだろう。
それはまるで小姑が嫁さんの日頃の掃除に口を出すが如く、『奥さん、まだこんなにホコリが…』とこ言ってテーブルを指でふいてホコリを見せてくる感じの細かさで。
まあ全ては用務員おじさんの想像だけどな。
仕方ないので錬金術についてファンタジー特有の簡単なレクチャーをすることにした。
金色ポーションを三人に見える様に見せながら話をする。
「まず我々の目標ですが、それはこのポーションの量産です。まあ今死んでいる人間を生き返らせる分とプラスで更に死者が出たとき様に少しといった量を作るのが目的です」
「そんな規格外の代物を人間の錬金術で生み出せると言うの……ですか?」
「出来ます、そもそもこれは私の師匠のお手製です」
用務員おじさんの言葉に三人の助手(ど素人)が目を見開いて驚いていた。
分かるよ、ウチの師匠本当に無駄に天才だからさ。
弟子の俺もちょくちょく引くくらいのね。
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