第72話 バカ錬金
そして我々の錬金術と言う名の戦いが始まった。
用務員おじさんの『異次元空間』の魔法によりどこぞの謎空間から様々な動物の牙だのツメだの謎のファンタジー植物の乾燥させた根っ子とかが招来される。
それをおじさんのアトリエに鎮座する一見すると人でも煮込むの? ってくらいに見える大きな釜、魔女とかが紫色の何かを煮詰めている時に出て来そうな釜にポイポイしていく。
「ほっ本当にこんなのを入れてあのポーションが出来ると言うの?」
さあ? 師匠は出来ると言っていました。出来なかったら師匠の責任である。
「ええっきっと……多分奇跡が起きれば出来ますよ」
「!?」
釜を混ぜるかかりのエコーが驚愕しながら混ぜている、火もかけてない中に入れた物は光を纏いキラキラし出して挙げ句の果てには謎の液体へと既に姿を変えていた。
これがこの世界の錬金術である、なんつ~不気味な代物だろう。こんなヤバそうなもん、人命がかかって無ければ金輪際手を出したくないわ。
「何か、変な臭いがしてないか?」
「錬金術ですからね。変わった香りがするのも仕方ありません」
「そうですか…流石ですリエール様」
当然ながら錬金術でも異臭とかし出したら普通に危険である、リエールによるラナミスへの洗脳教育である。
「ふうっ後は中年世界樹の葉と聖なる獣の鼻毛、そして女神の足の爪を入れますね」
「う…ん? 何か変な名前の材料ね。そんなのどうやって入手したのかしら?」
知らん、全て師匠の持ち物である。
きっと世界にはいい歳をした世界樹があり、鼻毛をくれる聖なる獣がいたり足の爪を切らせる女神様がいるのだろうさ。
……本当に変な世界である。
「考えても答えが出ない事は考えるべきではありませんよ、作業を続けましょう」
「わっ分かりました…」
無論、こんなばっちい感じの代物は素手で触ったりしない。魔法で浮かせて釜にインである。
そうすると釜の中のキラキラが一層その輝きを増した。
この輝きが中年の葉っぱとか鼻毛や足の爪によりもたらされたのだと思うと実に様々な感想が生まれそうな光景である。
「うん、魔力も安定してますね。これで後はこの釜を混ぜ続ければあのポーションになるはずです」
「私が回し続けるの?」
「もちろん交代です、ただ私はこれからベルフォーど学園の人達を連れて『星魔の塔』に向かいます」
「本気か、あそこは危険過ぎるぞ…?」
ラナミスの危惧は最もだ、ベルフォード学園の学生も教師もまだまだあそこの魔物とは勝負にすらならない。
しかしレベリングもしてちゃんと成長してる、低レベルキャラほど成長は速いのだ。
今なら異次元ダンジョンの魔物に瞬殺まではないだろう、それに戦う敵さんを一度はみておいて欲しいしな。
「本格的な攻略はしません、ただ少し相手のレベルを見ておいて欲しいんです」
「ならばリエール達もそちらに行って、この釜はエコーの部下やらせるべきでは?」
「いえっ万が一にもこのセーフティポイントに敵襲があった時の為にリエール達にはこの釜とこっちに残る人達を守って欲しいんです」
「その為に我が騎士団の者達をここに招き入れたんだろう? 既に戦意のある人間の訓練と見張り、共に十分な人数を派遣している」
確かにラナミスの言葉は正しい。
しかしこのセーフティポイントが必ず安全であるという保証は既に無い、何故ならあの腐ダマのヤツが魔法でここにいた人々を一度強制的に異次元ダンジョンの方に召喚したからだ。
あんな真似が出来るなら向こうの魔物をこのセーフティポイントに送り込む事くらい出来ても何も不思議じゃない。
リエールは今後二度とあんな真似はさせないと息巻いていたが、相手がヤツだと何をしてくるか全く予想がつかない。
まあだからこそ復活する前にこのダンジョンを攻略出来れば良いのだが、世の中そんな思い通りにはいかない、そもそもあの腐ダマが復活するのに本当にまだ時間的な余裕があるのかも分かったもんじゃないのだ。
故にダンジョン攻略も進めたいけど守りもしっかり固めておく、用務員おじさんの勝利とは異次元ダンジョンをこのセーフティポイントにいる人達皆でオサラバして脱出する事だからな。
「………もしかして私達がいない方が動きやすいって話なのかしら?」
「いいえ、ただ私が居なくなる以上ここには十分な守りを用意して置きたいんです。万が一このセーフティポイントを失う事になればダンジョンを攻略する事が出来なくなりますから」
「ダンジョンの攻略と言うが、そもそもラベル……様にはこのダンジョンを攻略する方法を理解しているのか?」
「……………」
ああっそう言えばまだ何も説明してなかったな。
「それではまずは説明しましょうか、私が考えるこのダンジョンの攻略法を…」
無論前世のゲーム知識だけどね~~。
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