第66話 夜空の激戦

 何故にダンジョン攻略の第一段階が樹海とそこにいる魔物の排除なのか。


 その理由は簡単だ、セーフティポイントから『転移』で移動出来る用務員おじさんとかディアナはともかく、『転移』の魔法が使えない人間はダンジョン攻略の本番である『星魔の塔』に向かうのに一々樹海とそこに住む魔物を退けなければならない。


 そんな手間を一々かけたくない、そもそも危険過ぎる。そこで用務員おじさんは考えた。

 ダンジョンのマップをリノベしようと。


 リノベは魔法だとかってテレビで言ってたし、魔法なら用務員おじさんの領分である。多分何とかなるでしょうと思い行動に移してみた。


 用務員おじさんが放ちし魔法が樹海の木々や樹海に隠れた様々な魔物を無限の空間の中に放り込んでいく、樹海の魔物の中には地中に巣くう輩もいるとゲーム知識で知っていたのでそう言うのも残さずお掃除だ。


 深夜にたまにある変にテンションが上がり眠れない時の気分だ、お陰で用務員おじさんは集中して作業に当たる事が出来た。


 夜にスマホでエッチな画像をチェックするがこどく端々まで視線を送る、『天眼』の魔法まで持ちだしてダンジョンの魔物を一体たりとも見逃さない様にする。


 向こうからすれば突然の事過ぎて何が何やらだろう、しかしこんな異次元ダンジョンに用務員おじさん達を招いたのはそちらだ、理不尽に散々晒してきたのだから、いい加減そちらが理不尽な目に会うときが来たのですよ。


 『無限域の箱』で木々と魔物の除去が済んだ後は大樹が根っ子を張っていた辺りはクレーターみたいな穴ボコが沢山である。


 これらを魔法で綺麗に整地していく、『星魔の塔』までのルート確保である。どのみちこの異次元ダンジョンとの決着は『星魔の塔』にて決めるつもりなので最早セーフティポイントがある遺跡を樹海に隠してもらう必要もないのだ。


 おやっ用務員おじさんの攻勢に気付いた樹海の魔物達が物凄い数で現れる。


 しかし最早数など何の意味もないのである、自ら用務員おじさんの元へと迫ってきた魔物は『無限域の箱』の魔法により無限に広がる異空間へと消えていく。


 もちろん異空間に行ったからといって直ぐに死んだりとかするわけじゃないが、水も食料もない異空間で魔物達がどこまで生きられるのかは謎である。


 そもそもあんまり興味もないしな。

 気を取り直してお掃除再開、数分毎に異次元ダンジョンの樹海がどんどん削られていった。


 ちなみに今回の作戦はリエールには話してある、事前にエコーたちみたいにリエールの部下的な魔物が他にも居ないのかを確認したかったからだ。


 そしてリエールからは『恐らくエコー達以外は既に処分されていると思われます』とのこと。

 確かに腐ダマがダンジョンマスターになったと聞いた時に大半はそうなってるだろうなと俺も思った。


 むしろエコー達がよくぞ今まで生き残っていたもんだと言う話だ、エコー達曰く元から大して危険だとも思われていなかったのでしょうと言う話だ。


 後は異次元ダンジョン内を転々と移動しながら身を隠していたらしい。腐ダマとしてはリエール共々いずれは自分の部下にでもするつもりで泳がせていたのかも知れない。


 以前の戦いでそれっぽい事を言っていた筈だからだ。まあうろ覚えなんだけどね。


 倒したボスキャラの言動とか、そんなの全て覚えている訳がないじゃないの。

「むっ地中から多数の魔物の接近か…」


 『飛行』の魔法を発動!

 空へと移動した用務員おじさん、さっきまで立っていた地面に無数の巨大過ぎる緑色のムカデ(多分十メートル以上の長さそして太い)が群がっている。


 なっなんてキモイ存在なんだ、良く今までこんなのがベルフォード学園の連中を襲わなかったもんである。地中で冬眠でもしてたのか?


 良く見たらアレって腐ダマが終盤に背中から生やしてたムカデだし…あんな気持ち悪いのを生やしてたのか、あの時は必死過ぎて気がつかなかったが本当にキモす。


 しかし空に上がればこちらの物、キモキモセンチピード達には『無限域の箱』の中へと入ってもらった。二度とこの箱の中から出さんぞ。


 しかし空を飛んだら飛んだで夜狩梟ナイトハンターやらそれ以外にも羽根も身体も大きなバッタやトンボ、翼の生えた獣みたいな化け物と、本当に次から次へと経験値になる為に生まれたモンスがイキッてこちらに向かってくるよ。


「………まっ逃がすつもりは俺もないしな、それじゃあとことんやり合うとしますか」


 腐ダマとの戦いでジャンプアップで強化された用務員おじさんの力をぶつけてやるぞ!


 その日は一晩中空飛ぶおじさんとキモキモモンスター達による激戦が異次元ダンジョンにて繰り広げられた…。

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