第28話 アヴァロン
……まあ、俺のステータスについて思うことはあるが今はそれよりもベルフォード学園の人々のステータスの情報を集めてみる。
ひとけのある場所にディアナと共に移動して『解析』の魔法を使いまくった。ディアナは俺が魔法を使ってるとは気付いてないらしく特に何も言われる事はなかった。
すると嫌な予感が的中した。
マジで予想以上に学園の教師も学生もあんまり強くはない。無論魔法は相性次第では化けるがそれにしても能力が低かった。
学生は基本的に三桁がせいぜいで教師にも四桁は数えるくらいである、しかもディアナよりも強い人がいないと言う有様だ。つまり大半がダンジョンに現れる魔物と一対一の勝負では勝てないと言う事。
良く今まで無事だったもんである、やはり数で押して一体ずつ倒して事無きを得てきたのかも知れないな。
「…………」
まあここ、ゲームでは本来ならラスダンをクリアして世界を救った後に来る隠しダンジョンだからな。出て来る敵が並外れてるのは当たり前なのかも知れない。
世界救った勇者とその仲間達がチート装備で武装してクリアするレベルのダンジョンだと言えば、成る程ともなる、要は学園の人々が弱いのではなく敵さんが強すぎるだけなのだと。
………1ミリもフォローになってない事に気が付いた。ますます用務員おじさんはこのダンジョンサバイバルを生き残れるのか不安になってきたぞ。
何とか早めにセーフティポイントへの避難を済ませて一段落つきたい気分である。
「また下民………貴様か?」
するとそんなタイミングでまたもや例の貴族様の登場である。
「………バリーか」
「これはこれはディアナ先生、そんな下民と並んで歩いては貴族としての品格を疑われますよ?」
並んで歩いくのもダメなの……?
あまりにも厳しい貴族社会のルールに用務員おじさんは心がくじけそうである(嘘)。
「言ったはずだ。その下民と言う言葉は使うなと」
「何故? そんな汚物を人として扱うディアナ先生を僕は理解出来ませんよ」
「貴族としての立場にある者がそんな傲慢になってどうする、私達は国と王、そして国で生きる民を守る存在なんだぞ」
「……………フン」
バリーはディアナの言葉を無視して炎系の攻撃魔法を放ってきた。迫る火球をディアナは無言で『魔障壁』の魔法で防ぐ。
ディアナは本当にバランス良く色々な魔法を使えるタイプの魔法使いみたいだ。そしてバリーはマジでイカレてるぜ。
「バリー、お前は教師に……」
「先の魔物の襲撃の折、貴女も見ましたよね? 僕の魔法が迫る魔物を次々と滅するのを、今まではこちらも無駄に目立つ事を避ける為に実力を隠して来ましたがそれも─」
なんかバリーがベラベラと自分は影の実力者だったアピールが始まった、興味ゼロの俺はさっさと『解析』の魔法を発動してバリーの現在の実力とやらを確認してみる。
【名前:バリー=ザイゴン】
【種族:人間】
【HP:336/336】
【ATK:231(+2000)】
【DEF:141(+2000)】
【貴族のボンボン、自分の才能を過信してベルフォード学園に入学したが、早々にそのプライドは砕かれた。それ以降は努力も怠るようになり鬱屈とした日々の中、自分よりも格下の人間だと判断した一人の用務員おじさんを執拗に攻撃する事で鬱憤を晴らしている悲しき青春の負け犬。彼女はいない、そして何者かからの謎バフにより結構強くなっている】
まずいな、ディアナ先生戦うと負けるぞ。謎バフってなんだよ謎バフって、そんなの反則じゃん。
けどそれ以上に気になるのは格下の用務員おじさんの件である。
幾らなんでもさって流石になるよ、これつまりは用務員おじさんを足蹴にしたりしたのってたまたまイラついてた時に目に止まった用務員が俺だったからって理由だよ?
格下だと判断したのにも理由が記載されていない、つまりは理由なんてないのだ。
それでよくあそこまで人の心にトラウマを刻み込むような真似が出来るもんだと、ある意味スゴいと思えるわコイツ。
砕かれたプライドが高すぎたことからの弊害なのか、そんな時に寄り添ってくれる教師や大人が彼の傍に居なかったのが問題なのか、その辺りのセンチメンタルな部分は自分が生きるのに必死な俺には判断がつかない。
ただ一つ言える事は、そりゃお前に彼女なんて出来る訳ねぇよな!
と言う事である、或いは美少女な彼女がいれば彼もここまで……もっと言えば世の中の全ての男子が理想とする女性とお付き合いすれば世界は平和になるのかも知れない。
しかしそれは実現する事のない理想郷、アヴァロンなのである。
「──そしてディアナ先生、貴女の実力では僕には遠く及ばない事も理解してるはずだ。この場で自分の正しさを通すだけの実力がないのなら、ただ黙っていてくれませんか?」
「バリー、貴様!」
あっ話がそろそろ終わりそうなので用務員おじさんは現実に戻る事にした。
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