第26話 避難を提案、お風呂の力
バリー、本来の彼は魔法の才能とかも微妙で何よりも努力とかをしないから実力なんて隠すほどもなかった筈だ。やはり彼の後ろには何かいると見ていいだろう。
しかしそれよりも優先するのは人命である、俺は早速彼女達に避難をしないかと話す事にした。
「バリーさんの事は後回しにしましょう、それよりも三人に話しておきたい事があります」
「……話しておきたい事?」
ラビスが食いついた、彼女は特にシフォンとデュミナを守りたい姿勢が見てとれるので話しがまとまりやすいと考えている。
「実は昨日、私と生き残った飛行艇の船員の方々でダンジョンを探索していると変わった遺跡を見つけました。そこには魔物がよりつかなかったんです」
「魔物が? 話を聞かせてくれ」
「分かりました、その遺跡を調べるとワープポータルを我々は発見しました。そしてその中には…」
とりあえず分かりやすさを意識しながらもワープポータルの先にあるセーフティポイントの安全性とかを説明した。
しかし彼女達、特にデュミナは別の所に食いついた。
「そう言えばおじさん、おじさんなのに昨日よりも身綺麗になってない? 後会ったときから思ってだけどそのマントは何なの?」
「このマントはその不思議な場所で出会ったリエールと言う少女から貰ったものです」
「少女? ふぅ~~ん………」
「身綺麗なのはお風呂に入ってこの作業服も洗ってもら─」
「「「お風呂!?」」」
物凄い反応だった、そして三人に兎にも角にもそこに案内して欲しいと言われた。魔物の襲撃がまたあったりとか三人が消えたら騒ぎにならないかと聞いたら…。
「少しくらい、ほんの少しくらいなら大丈夫ですよ!」
「そっその通りだ。魔物の襲撃も先生達がいるし、何よりもその場所が本当に安全なのかを確かめる必要があると見た!」
「お風呂! お風呂! もう髪の毛とかかゆくて仕方なかったんだ! だからデュミナ達も速く綺麗になりたぁーーい!」
デュミナだけはどこまでも素直だね、他二人も置いていったりすると本気で恨まれそうなのでとりあえず三人と共に再びセーフティポイントへと転移した。
……その後? リエールや船員達と挨拶をした彼女達は例の如くリエールからお風呂に行くように言われた、当人達もそれに同意して速効でお風呂に向かっていったよ……物凄い早歩きで。
あとリエールからは『女性用のお風呂は既に増設しておりますので心配なく』と言われた、用務員おじさんと一部の若い船員はガッカリした。
三人の事はリエールに任せよう、細かい説明は後で用務員おじさんがすると伝えて欲しいと言って再びセーフティポイントから飛行艇墜落地へと転移する。
本当は彼女達から他にも親しい人間だけでもいいからセーフティポイントへの避難を相談して欲しかったのだがお風呂タイム中ではそれも敵わない、しかしあんな少人数を一々『転移』で運んでたら俺も面倒くさい、ここは一気に話を進めるべきか?
けど下手な対応をするととても面倒くさい事になるのが貴族様である、そして流石にバリーを連れて行くのは危険だと言うのは用務員おじさんでも分かる。
やはりここ辺りで一回バリーと決着をつけるべきか?
そんな事を考えていると声をかけられた。
「ん? お前はラベルか」
「ディアナさん」
「無事だったんだな、シフォン達が心配していたんだ。顔を見せてやってくれ」
「…分かりました、必ず無事だと伝えます」
結構心配かけていたっぽい。まあ既に会ってはいるから大丈夫だと思う、何しろ今はお風呂の方が優先されてる事を話したい気分の用務員おじさんである。
偶然だがディアナの無事も確認出来たので少し話をする、昨日の魔物の襲撃についてだ。
「昨日は大変でしたね…」
「ああっ寝ずに番をしていた者がいたから襲撃に気づけたが…」
話を聞くとどうやら数十以上の魔物の襲撃を受けたらしい、その魔物は大型のフクロウみたいなヤツとかネコっぽいヤツとかデカすぎる蛾みたいヤツだったと言う話だった。
フクロウは
本物を見た訳じゃないが『天眼』を使えば確認出来る。現在は近くにそんな魔物はいないがある程度離れた樹海の奥にはいた。
一応強さも『解析』の魔法でアナライズしておこう、『天眼』で確認した個体を適当に確認する。
【名前:クロ】
【種族:
【HP:5000/5000】
【ATK:1200】
【DEF:400】
【通常のフクロウの倍以上の大きさで倍以上の速さで夜を無音で飛ぶ夜の狩人、風の魔法を操り、風のバリアで魔法攻撃を防いでくる。一撃必殺が絶対のスタイル、戦闘力は大した事はない】
アナライズが強くないと断言してんだけど、魔法って使った人間の性格とか出るからな~。
用務員おじさんの適当な性格がこの適当な情報を出す事に関係してる可能性がある、『解析』の魔法にすら少し申し訳ない気分になってくるよ。
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