第21話 セーフティポイント最高
いきなり全く知らん謎キャラの登場にちょっと不安は残るが、取り敢えず安全は確保出来た。
当初の予定通り俺はワープポータルで異次元ダンジョンに一度戻り、船長達にセーフティポイントは安全だったと伝える。
そして再びワープポータルにてセーフティポイントに移動する。そこには当然着物メイドのイーリエール……確かに呼びづらいからリエールでいいか。
リエールが待っていた、当然船長達は誰なのこの子供は? となる。そこでリエールは間髪を入れずに笑顔で言った。
「お客様方、先ずは身体を洗いその汚れを落として来て下さい」
「「「「「…………はっはい」」」」」
笑顔ながら絶対に他の意見はきかんよ、と言う強い意志を感じた。どうやらリエールは汚れたヤツが土足で歩き回るのが許せんタイプらしい。
俺が見逃されて来たのはご主人様だからだろうか、しかし一応俺もお風呂に入る事にした。
バスルームの広さは学校のプールよりも何倍も広い、スパ銭よりもだ。
当然船長達はとても驚いた、しかし野郎連中のお風呂シーンなんて望む存在はほぼいないのでその辺りは適当に流そう。
俺が来たときにはなかったシャンプーやらボディーソープがシャワールームに置かれていたのはリエールの仕業なのだと思う。使い方を教えるのは用務員おじさんの仕事だった。
大きな浴槽に若い船員達はかなり驚いていた、あんまりはしゃぐものだから船長にめっちゃ怒られていた。お風呂の時間が五月蝿いのは俺も勘弁なので助かったよ。
お風呂から上がると白い半袖と半ズボン、後は浴衣が置かれていた。好きな方をってところか?
俺は浴衣の着方とか知らないのでシャツとズボンにする。これらの衣類の質の良さにも船長は驚いていた。
「こんな上等な服、どっから持ってきたんだ?」
「さあ? 気にしても仕方ないと思いますよ」
異世界ではこのレベルの衣類もかなり上等な部類に入るのである。
そんな会話をしながらバスルームを後にする。
我々が戻ると既にリビングルームには様々な料理が並んでいた。
肉料理。魚料理、野菜料理にパンにスープ。どれも洋食だ、そしてとても美味しそうだ。
恐らく異次元ダンジョンに来てから殆ど食事も取っていないであろう面々は目を輝かせる。当然用務員おじさんもである。
そんな連中を前にしてリエールは言った。
「ラベル様はこちらに、食事は先ずはラベル様が手をつけてから他の方々はお願いしますね」
「……なあ、アンタなんで様付けされてんだ?」
「さあ、分かりません」
「ラベルっておっさんの名前なのか?」
「ラベル様です、招かれたと言ってもラベル様以外は客人と言うよりも保護している様なものなのでそこは弁えて下さいね?」
「「「………………」」」
そんな感じで所々に違和感はあるけれど、総じてセーフティポイントは最高だった。
基本的に用務員おじさんは、貴族みたいな気を遣わないといけない連中が沢山いる所でストレスを溜ながらの職場環境だったからな、ここまで心おきなくリラックス出来たのなんて異世界に来て初めてじゃないかと思われる。
後我々の着ていた服は脱いで脱衣所の籠に入れておいたのをリエールがバスタイム中に回収してお洗濯までしてくれていたらしい。
何気にその時にリエールはものには触れないで浮かせて運んでいたと船員の一人に聞いた。
あの着物メイドさんは魔法も使えるらしい、その実力が完全に未知数。ゲームでも把握してない存在だけに油断は出来ない……のだけど、ここまでもてなされるとな~~。
気が緩んでしまいそうになる自分がいる、人に生活関係の雑事を任せっきりとか最高、前世では引きニートしてたから経験あるけど異世界の転生してからはなかった、自分の事は自分でやるが当たり前だっただけにこの環境が簡単に人をダメにする事をよく理解している。
いかんね、このままではダンジョンから脱出とかがどうでもよくなってしまうかも知れない。
俺は頑張ってシリアスな感じを醸し出す事にした。船長の所に行こう。
現在我々はセーフティポイントにてそれぞれが好きな場所にて休んでいる。また風呂に入る者やリビングルームで雑談する者など様々だ、
そんな船員達に船長の居場所を聞くと教えてくれた。どうやら船長は個室にいるらしい。
このセーフティポイントには幾つもの個室が用意されていた、正直ゲームではこんなに個室あったっけ? と思うが集まって雑魚寝するよりも遥かに良い、プライベートが大事な用務員おじさんはとても嬉しいです。
個室も白が基本で机とテーブルとベッドが置いてあった。
「少し話を良いですか?」
「……ラベル殿か」
ちなみにお風呂の時に自己紹介を改めてしておいた。船長、彼の名前はドニードさんと言うらしい。
年齢が二回り近く年上の人にラベル殿とか呼ばれると背中がムズムズするがそこは我慢だ。
「俺に話か?」
「はいっ今後の事について先ずはドニードさんに話をと……」
ドニードさんは『今後か…』と小さな声で呟いた、俺がする話もある程度予想はついていると見た。それでは話を切り出すか。
「近いうちに私は、ベルフォード学園の教師と生徒の方々をここに避難させたいと考えています」
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