❅5.訪問者
教室、騒音騒音騒音。
今日も本を開く。
読んでもいない本のフィルター越しにクラスの友達とは名ばかりの人たちを眺める。
そして、いつもどおり窓から見える切り取られた空に目を向ける。
「朔耶君ちょっといらっしゃい」
教師が僕を呼ぶ。
教室の生徒がこちらを見ながらヒソヒソと話す。
今回は何を叱られるのだろう。
そんな僕の考えは当たらなかった。
連れて行かれた面談室とは名ばかりの説教部屋にはなんだか長身の男がいた。
歳は30代くらいの顔はそこそこいいんじゃないかって思った。
一体僕に何の用があるのだというんだろう。
僕はこの男を知らない。
その男は僕に言う。
「朔耶君だね。はじめまして。俺は
「はじめまして」
「俺は君のような子供を研究していてね、君の事この前見かけて君を知りたくなったんだ
朔耶君俺の研究所に来て協力してほしい
研究を手伝ってくれたら君の願いを一つ叶えてあげよう
俺と来てくれないか?」
叶えてくれる?僕は僕のままいられるのか。
この人には素直に甘えてもいいようなそんな気がした。
「なんでも叶えてくれるの?」
“僕は僕は…みんなと…同じになりたい。”
「ああ、約束しよう」
「いいよ、絶対だからね」
小指をたて男に向ける。
男もまた小指をたて僕の指に絡ませる。
「俺の事は、博士と呼んでくれ」
「うん」
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