第22話 念話
「念話について教えてください」
『はい』
「念話は自分やチャチャにも覚えれますか?」
『それは、難しいかと思われます。
アルク様は加護というものをご存じでしょうか?』
「加護?それはなんでしょうか?」
『この世界の生物は生まれ、ある程度力を持つと加護と言う物を体に宿します。
私の場合は【光】【無】【植物】の属性の加護を体に宿しており、その3つの属性の能力を使うことができるのです』
「そうなのですか、加護ですか・・・念話を覚えるのは無理そうですね」
アルクは、肩を落とし残念に思う。
もしチャチャが念話を覚えられたら、会話してみたかったなぁ。
それにしても加護か、この世界では神は身近にいるのかな?。
『お力になれず申し訳ありません』
「いえ、気にしないでください。
一応なんですが、神と呼ばれる存在に出会ったことはあります?」
『いえ、見た事はありません』
(一応聞いてみたけど、そんなもんか)
「ありがとうございます。
話を戻しますが、念話とは相手にイメージを伝える能力でいいんですよね?」
『はい、正確には視界に入っている、伝えたいモノに伝えることができます』
「やはりそうですか、では、念話で会話する時には言語は必要なのですか?」
『はい、こう話す時は言語を必要とします。言語がない場合は感情をイメージさせ念話を送ります、このように』
そういうと南の主さんから恐怖していますと感じさせるイメージが送られてくる。
「なるほど、これが言語のない念話なのですね、チャチャも南の主さんの言語が分かるんだよね?」
『クック』
アルクはチャチャに聞いてみると、うん、と鳴いて答えてくれる。
「やっぱりか、では何故、南の主さんは自分たちの言葉が分かるのですか?」
『?・・・え・・・あ、本当ですね、当たり前のように今まで話しておりました。
アルク様やチャチャ様は別の世界の方々なのに何故分かるのでしょうか、そして何故、エント語を話しているのでしょうか?』
「ちょ、ちょっと待ってくださいね」
南の主は戸惑いながら答えたが、それを聞いたアルクは考えを整理していた。
【エント言語】そんなのは覚えた記憶がない。
今まで南の主さんと会話できていたのは、自分が【エント言語】で話していたから。
そして自分が【エント言語】を話せた理由はたぶん自分が産業スキルで語学の熟練度をMAXにしていたから話せているのか。
自分は日本語で話しているつもりだが、【日本語】が【エント言語】に翻訳されて伝わっていると、ベラとエリクの名前もそうだ、見たことのない文字を見たら読み方が頭に浮かんだ、
(本当にすごいな産業スキルの言語の熟練度あげておいてよかった)
そういえばとアルクはゲームの世界を思い出していた。
ゲームの世界では最初他国のプレイヤーの言葉や店の看板の文字などが分からなかった。
プレイヤーの文字だけは分かったが、あれは文字が日本語だったから分かったのか。
じゃぁ自分はゲームの世界では魔族大陸語を話していたのか、自分は日本語で話しているものだと思っていたが、違ったのかと納得し他国のNPCの会話だけ全員分かったのも、もしかしてNPCの能力に翻訳言語機能があったのかと。
チャチャもそうだ相手の言語が分かっている、ズンナマさんだって言葉を理解していた。
もしかしてゲームの世界の魔獣達にも翻訳言語スキルがあるのか、だから意思疎通ができるのか。
産業スキル語学の熟練度上げも、数十枚もある語学書を集め、書かれてる呪文を唱えて上がっていたから。
てっきり各国の言語を覚えてるのかと思ったが、翻訳言語スキルみたいなのを習得してたのか。
アルクは改めてすごいなFlow of Worldと思いつつ。
そういえば言語の考察がうんたらなんたらと、ギルドメンバーが言ってたな。自分は掲示板とか全く見なかったら・・・と当時の産業スキルの言語の熟練度上げにかかったお金と苦労などを思い出し、遠い目をしていると声が響く。
『大丈夫ですか?』
「は、はい、すみません、考えを整理していました、南の主さんはどうやってエント語を覚えたのでしょうか?」
『私は、気づいた時から使えておりました』
「・・・そうですか、ではエント語は人も使ってるか分かりますか?」
『使われていると思われます。
神から与えられた言語ですので使われていなくてもエント語をベースにして変わっているかもしれませんが』
な、なんだってー!?また、神か。
さすがに長くなりそうだから狼の件を片付けてからだな。
しかもベラとエリクの読み書きとか言語とか覚えさせないといけないから、考えていかないとなー、とそんな事をおもいつつ。
「そういえば加護とは、ほかに何の加護があるかご存じでしょうか?」
『私の知る加護は【火】【水】【雷】【風】【土】【植物】【氷】【光】【闇】【無】の10つですね、他にもあると思われます』
アルクはそれを聞き、考え込む。
ゲームの世界でも属性はあるが、幻覚の能力や時を操る能力は加護にはないのか?
他にもあると言っているから、もしかしたら・・・持っている物が居るかもしれないな。
そう思い自分の首にかけている、懐中時計のネックレスに触れる。
「こっちも似た属性があるのですね、本当にありがとうございました。
最後に見てもらいたい場所があるのですが、よろしいでしょうか?」
『はい』
「では、すみませんが、付いてきてください」
南の主さんの念話を聞きアルクはヴィアスとした契約の場所を見てもらうため、移動し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます