第16話 人?
アルクは目の前に居る、先ほどまでクマだったはずなのに、今は人間になってソファーで横たわって寝息を立ててるヴィアスを見つめ布を被せながら考えていた。
(ふぅー〖従魔契約〗が発動してくれてよかった。
名を受け入れてくれなかったら発動しないから本当によかった・・・。
それにしても失敗したな)
左耳に着けてた黒いイヤリングを外した事でだ。
改めて自分のステータスが露わになった時の先ほどの現象は厄介すぎた。
鳥が危険を感じて飛び回るなんて自分の居場所を言ってるようなもんだし、そんな気配駄々洩れなんてダメすぎる。
しかもヴィアスを連れ帰ってからが、はんぱではなかった。
地下から泣きまくるベラとエリクの声がして、すぐにイヤリングを着けて、装備を外し数十分あやして、その後はヴィアスが少し臭かったので風呂に入れ身だしなみを整えてあげた。
(一生外すことはないかな)
ゲームの世界では、相手に自分のステータスを見破られないために、プレイヤーみんな【偽りの仮面】を装着している。
何故かというと、情報を与えるとSNSで公開されてしまうからだ。
大きな掲示板だと嘘情報とかも出てくるが、大手のコミュニティーなど信頼をおける場で流れると、PVPに置いてはプレイヤーのステータス数値など最初の1回と年に1回しか初期化できないので対策されて積んでしまう。
だから完全把握はほとんどされない、盗賊や海賊などトッププレイヤー達の情報はめちゃくちゃ流れてたけど・・・。
なので人のステータスを聞くのはご法度なのだ。
「そういえばチャチャも、自分と同じlv100なのに怯えられないね、そこら辺の鳥からしたら怖い存在なのに、逃げられないのはなんで?力を抑えてるの?」
と肩に乗るチャチャに問いかけると。
「ックック」
何当たり前のことを聞いてるんだ?と言わんばかりの顔をして鳴いた、自分も泣いた。
(あのチャチャがこんな顔をするなんて、本当に願いが叶っちゃったね)
その嬉しさで頬を緩ましながらチャチャの頭を撫でる。
するとチャチャも顔に頬ずりしてくるので頬ずり仕返し、一人と一匹のツーショットをカメラで撮る。
ベラとエリクも撮って、寝ているヴィアスも撮っておく。
改めてヴィアスの容姿を眺めた。
性別は男で身長は185くらいだろうか。
歳は人間の30歳くらいかな?ソファーを万遍なく使ってる。
髪はクマの時と一緒で深く濃い赤色の
眉毛もいい感じに細く、まつ毛が長く、鼻も高い、唇も薄い、そして渋さを出す髭=スゲェイケメンだね。
名付けておいて今更なんだけどヴィアスが雄で良かったよ。
あれで雌だった本当にどうしようかと思った・・・もし雌だったらヴィアスは雌の名前って言い訳していたところだよ。
・・・それにしてもクマ要素がまったくないな、耳はゲームの世界の獣人族のそれだが。
それにデカいなぁ、足がソファーのひじ掛けから余裕で出てる。
現実で185cmを間近で毛穴までジロジロ見ることなんてそうそうないもんなぁ。
ヴィアスから目を外し椅子に腰かける。
ヴィアスのおかげで従魔契約をすると何かが吸われるのは解った。
地面から青い光がヴィアスに吸われていったのは、たぶん魔素かなにかだろう。
そして周りの草木が枯れた。
枯れた草木は戻るのだろうか?今後見ていくしかないか。
まだ解らない事がある。
ヴィアスとズンナマさんとの契約した時の違いだ、これも解らない、個人の強さだったりするのだろうか、回数なのか、これも今後だな。
ベラとエリクに従魔契約が発動しないのは人だからなのかな?もう名が付いてるからかもしれないな。
それと従魔契約も無限にできるんだろうか?
もしかしてゲームの世界に3体置いてきたからその枠が空いたのか?でも従魔契約を解除して枠を空けてないと従魔契約は発動しないはずなんだけど。
今後していくとなれば、あの疲労感と吸われている感覚が激しくなっていって最後は死ぬのかな?まぁそんなことより。
まずは無事にヴィアスが自分の仲間になってくれるかかな、それからだ。
「それにしても、熊が人になるなんて・・・世界が変わり従魔契約やほかの魔法の能力も変わってしまったと思っていいかな。
あとは、樹海の主じゃないなら、まだここら辺に主が居るということか。
ヴィアスがあのデカさだと、ここの主はどんだけでかいんだろう、これは声魔法に頼るしかないね」
アルクはそんなことを考えながらチャチャと夕暮れの外へとむかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます