石を蹴った先には、洗顔料を嘴に塗るカラスがいた

小学生の頃に、よく石を蹴って遊んでいた。


私はサッカー選手のようにボールを巧みに扱いたかった訳ではない。


石の記憶を失いたくなかったのだ。

石が消えてしまったら、サッカー選手もボールを蹴らずにピザを頼んでしまう。


私の中の秩序を保つために、石を蹴っていた。


小学生の世界観は、いつも想像に満ちている。

想像が想像に上書きされて、親子で遊んでいる縄跳びの縄に絡まって転んでしまう。


どうにかしてその束縛から逃れようとしている私の前に一羽のカラスが落ちてきた。


飛んで舞い降りたのではない、落下してきたのだ。


そのカラスはサッカーボールのようなしま模様をしていた。


ああ、このカラスは美容効果を信じた結果、落ちる羽目になったのか。

私がそれに気づいた時に、やっと縄は解けて肌は綺麗になった。


カラスのおかげでサッカー選手は、洗顔をしなくても良くなったのだから、ピザを食べて帰ろうか。

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