第6話

「こらっ!! さくら!! 今日は遅刻するなよ、ってあれ程 俺が言っておいたのに。入学式くらい 時間を守りなさい。全く」と、突然 謎の美少年が現れた。


すると さくらちゃんは、バツが悪そうな顔をして


「お兄ちゃんには関係ないもん!!」と

スタスタと通り抜けようとするが、


「それが関係なくはないんだよな。俺は。なんせ

海外旅行に行ってる 両親にさくらに悪い虫がつかないように、と、頼まれてるんだからな。」


はぁ、と大きく溜め息をついたお兄さんは鳴海と僕の

存在に ようやく気付いたらしく顔を上げる。


「ん? そちらは さくらのお友達かな?

俺はさくらの兄の藤堂 夏樹 と言います。

さくらの一つ歳上で 一応、生徒会長なんで、

何かあったら 頼って下さい。宜しくね」


と、ニコニコしながら笑顔で僕と鳴海を見ていた。

しっかりした人だなぁと思いながら 挨拶を返す。


「あの、さくらさんとは つい先程、初めてお会いしたばかりなんですけども、凄く感じが良くて」と

僕が言い終わらないうちに いきなり手を握られた。



「·····か、可愛い。可愛すぎる!! 君、お名前は?」

と突然の出来事に頭がついていかない僕は


「あ、あの、僕は春田 青って言います。」


(もしかして、このパターンは·····と不安になる僕)


そして 思いきり笑いを堪えてる鳴海。


「青ちゃんか、、名前まで可愛い!!一目惚れしてしまいました。俺と付き合って下さい!!」


「な~んてね。笑。冗談ですよ。実はさっきの、

さくらと、あなた方のやり取りを見ていました。」


「な~んだ、残念。面白い展開になるかなと思ったのになぁ」と後ろで呟く鳴海に 思わず僕は


「鳴海ちゃ~ん?? なんだって?? 」と僕は

ニコニコと笑いながら 怒っていた。


「ごめん! 青。今日の帰りにBLUE BIRD行く? 青の好きなアールグレイのミルクティー奢るから、それで許してくださいませ。」



「もう、仕方ないな。許してあげるよ。アールグレイのミルクティーと、ティラミスも追加ね!」と鳴海といつもの くだらないやり取りを交わしていると



それを見ていた夏樹さんは 「俺はさくらとは違って

喋り方を聞いてたら男か女か分かるので安心して下さい。鳴海さんは女の子で、青さんは男の子だって理解してますから。」と、しっかりした口調で言い放つ。



(何で分かるんだろ??と不思議に思いながら)



体育館を見るともう、あんまり人が居ない感じで

新入生代表の挨拶も終わっていた。



すると、「会長~!! 藤堂会長~!!」と誰かの声が聞こえてきて、夏樹さんは 「おっと、呼ばれたから行かないと。 またね! さくらを宜しく!寄り道は構わないけど、暗くならないうちに帰るんだよ。」



「「「は~い!! 了解しました。」」」


(まるで、恋愛シュミレーションゲーム並に今日だけで色んな人に出逢えたな。これから楽しくなりそうだ)






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