365日を抱いた女の誕生日で埋めたい
「これでいいのかい。全く、士郎くんは食いしん坊さんなんだね」
昼休み、俺は神本との約束のために食堂へとやってくると神本が席を取り座っていた。
約束通り、神本になんでも奢ってくれるとのことなので十五品、食堂にある全てのメニューを買った。
ちなみに神本はうどんを頼んだ。
「七千円弱、うん。まさかこんなことになるとは……君の胃袋はどうなってんだい」
こいつは本物のバカなのではないのだろうか。
この量……食べれるはずがないだろ。
こんな馬鹿野郎に紗倉は……。
「ああ。まあ、俺が食べるのはカレーだけだけどな」
突如、神本はテーブルを叩き立ち上がる。
「はぁ!?」
その光景に周りが俺たちを注目する。
ゴホン、と席をした後に静かに席に座る神本。
「おい、今なんと……?」
「俺が食べるのはこのカレーライスだけだ。残りの食券は鼻をかむのに使うわ」
「はぁ、まてまて本気か……?」
ざまあみやがれくそやろう。
「ああ、本気だよ。じゃあ、ご馳走様」とお盆を手に持ち立ちあがろうとすると。
「はあ……やはり僕の目は正しいようだね、君は狂っている」
「は?」
人の彼女を取るやつとどっちの方が狂ってるんだ。
お前だろうが。
「怖いね全く、まあ……そんな狂った君と僕は親友になれる気がするんだ」
「何言ってんだよ、お前と喋るのは今この瞬間でおしまいだ」
「いいや、君に一つ提案があるんだ。どうだい? 一緒に紗倉ちゃんを教調するってのは。性に溺れる女の子にするってのは……」
こいつ──。
俺は神本の胸ぐらを掴み睨みつける。
「場所を変えるぞ」
○
体育館裏へとやってきて俺たちは段差に座る。
「いやあ、これでも僕は本当に紗倉ちゃんを奪ってしまったことに罪悪感があるんだ」
「待て、そんなことどうてもいい。さっきの続きだ、紗倉を──」
「ああ、だから君に僕の彼女を教調するための手伝いをお願いしたいんだ、君が愛した女をこの手でエロで染める。最高じゃないか?」
殴りたい。
今すぐこいつを殴って殺してしまいたい。
でもそんなことしてしまったら俺は……紗倉に余計嫌われる。
我慢だ。
「何言ってんだよ……」
「ああ、そう怒るのも無理はないでも、学年一の美少女がビッチって最高じゃないか? 興奮しないか?」
「しねえよ……」
耐えろ俺。
なんでこんなやつに紗倉が取られたんだ。
わからない、どこにそんな魅力が……。
本当はわかっている。
俺はこいつには勝てないのだと。
顔だけではなく中身も女前なら偽りイケメンなのだから。
「一つ誤解して欲しくないのが、僕はまだ彼女と一度しかしたことがないということだ。君の方が多い。それにしても彼女の締まりはなかなか良い、九十五点だ」
こんな最低なやつに紗倉は……。
「……」
「ここで一つ、僕の夢を特別に教えよう。同じ穴を使った穴兄弟としてね。お兄ちゃん♪」
ニコリとこちらを見る神本。
狂ってる、そんな言葉でこいつは片付けられない。
これが同じ人間なのか……?
「僕はイケメンだ、それもそこらにいるイケメンなんかじゃない。僕は神から天性の才能をもらったんだ、この面というね。神からの使命なんだ、僕は抱いた女の誕生日で365日の日を埋めてみたいんだ、どうだい? ゾクゾクしないか?」
なんで、なんで、なんで。
なんでこんなやつに俺は負けてんだよ。
「いつかは苗字も埋めてみたいね。まあ、そんなところだ。そんな理由で僕は霧島を手に入れた」
それが理由だったのか。
そんなくそみたいな理由が!!
「いつもなら一日で捨てるが、可愛い。そこらの女と比べものにならないほどに、それに身体付きもいい。だから僕は決めたんだ、こいつをエロで染めてやろうって僕と協力して彼女を……」
「もう二度と俺に話しかけんなくそ野郎が」
俺は立ち上がる。
こんなやつが。
「いつか必ず、俺は紗倉を取り戻す!」
「いいね、そういう熱い展開。僕は嫌いじゃない……でもね、これだけ言っておこう。この世界は僕の物だ。僕が主人公、つまり……君に勝ち目はない」
「笑わせんな、俺が"主人公"だ!!」
ひとまずはあいつらに心を癒してもらうとしよう。
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おかげさまで、ラブコメ日間ランキング4位、週間ランキング10位。
ありがとうございます。
このイケメンクソ野郎にヘイトが溜まっているのはわかっています。
大丈夫、士郎くんがなんとかしてくれるはずです!
"主人公"ですから(笑)!
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