第7話 天声

次に目を開けたとき、全てが消えていた。さっきのは夢だったのではないかと思ったが辺りに散った、夢の中より明らかに多い血痕がその考えを打ち砕く。

消えた奴がどこへ行ったのか、博士がどこへ連れていかれたのか、そんなこと考えたくもなかった。


赤しか映らない視界に緑の光が見えた。近づいてみるとそれは緑色のランプだった。

手が勝手にそのランプの横のスイッチを押す。天井のスピーカーからもはや懐かしい声が聞こえた。


「助手君へ。君がもう何度も私を助けてくれていることは知っている。でも、もういいんだ。君はタイムスリップを成功させたが、それは使い過ぎれば君の体にも支障をきたす。恐らく最初は無意識だったのだろう。でも君は私を助けられる可能性を模索し始めた。……きっと何をしても上手くいかなかったろう?私は死んでしまうのだろう?

私がこのメッセージを直接お前に伝えられないように。ザザッ……。もう頑張らなくていい。ありがとう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る