第6話 悪戯
弾丸はアンドロイドの銃を弾き飛ばす。間髪入れず、二発目が眉間に風穴を開けた。だがこんなのが無駄なことはよく知っている。
アンドロイドは眉間に穴が開いたまま一歩、また一歩とこちらに近づいてくる。
俺は目を瞑り、これから起こることに対して何も考えないよう自分を落ち着ける。
首元に気配を感じたところで俺は突き飛ばされた。何もないリノリウムの床に容赦なく叩きつけられる。もう目を開けないと誓ったはずだったのに、思わず開けてしまった。
「博士!」
そこには首を掴まれ、宙づりにされた博士がいた。必死に空気を取り入れようともがくがアンドロイドの手がめり込んで、首の血管が浮き出るばかりだ。そして、ついには抵抗がやみ、全身から力が抜けた。
「やめろ……!」
絞り出した声も
ぎゅっと手に力を入れると、彼の頭と体は細々とした繊維で繋がっているだけになってやがて体が落ちた。そこらが赤に染まる。そいつは手に残った頭部と目を合わせ、親指で眼球を圧迫する。それに飽きると頭部を投げ捨て、残った身体に目を向ける。首の断面をぐちゅぐちゅといじり、その赤に染まった手で胸部に手をやる。ぐっと押し込むと骨が折れる嫌な音がした。首から更に赤が噴き出した。
無表情で淡々とこなすそれは拷問用にインプットされているのか。何かあっても「暴走したアンドロイドが勝手にやった」と言い訳できるように。それが今は暴走してあの様。本当に悪趣味だ……。
彼の臓物が引きづり出されたあたりで俺の意識は途絶えた。
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