第2話 現在

ウィン、と軽い音とともにドアが開く。

怪しげな機械がたくさん置いてある部屋にコツコツと足音を響かせ入ってきた男は、部屋の中心の椅子に腰かけている人物に向かって声をかける。


「ちゃんと許可とってきましたよ」

男が手を握りこむとどこかに仕込まれたスイッチが押されたのか、部屋の天井に設置されたスピーカーから声が流れ出す。


『もう諦めてもいいですか』『え?いい……んじゃないですか……?』


「この声……私か……」

「ええ。あなたの許可さえもらえればもういいでしょう」

「タイムマシンはお前の体にも負荷がかかるのだからやめておけとあれほど……。それに私は……」


「黙ってください」


男はコツコツと足音をたて、その椅子に座る初老の男に近づいた。


「これで最後だ」


ゆっくり持ち上げられた手に握られているのは拳銃。それは初老の男の眉間に対し、完璧な角度と距離で照準を合わせてあった。


バン!


乾いた音が部屋に響いた。




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