新しいクラス

 何がチャンスタイムかって?

 

 もちろん先輩っぷりをアピるチャンスさ。

 

 ハハハハハハ。

 日頃頑張ってイケメンゲームしていたオレ

 様が本領発揮するときが今そこキタってわ

 けですよ。

 

「ねぇ、そこの君」

「えっ?」

 オレはイケボだ。

 

 声だけは自信がある‼︎

 

 振り向く白猫ちゃん。

 サラサラの長い艶髪が揺れた。

 

 はぁー。

 髪を握りしめてくんかくんかしたい。

 

 と、妄想している場合じゃない。

 

 あ…。

 なんか一年生じゃないっぽい。

 もしかして、三年生なんじゃね⁉︎

 

 えと…。

 一年生なら、学校を道案内しようと思って

 たんだけどーー…

 

 どうしよーーー‼︎

 

 呼び止めといてまさかのフリーズ。

 

 …

 

「ん?何?」

 

 はうっ…。

 こんなオレに何なんて聞いてくださるなん

 て…。

 無視して通り過ぎればいいものを…

 なぜ…なぜわざわざ足をとめてくださって

 いるんだ。

 

 この美人な白猫ちゃんは…。

 

「あのさ、一目惚れって信じる?」

 

 ああああぁぁぁぁ…

 オレは何をいきなり言ってしまったんだ…

 消えたい…。

 せめて消せないならダニにでもなりたい…。

 

 初めてダニを尊敬した。

 ダニさん。

 あなたは、小さくて羨ましい。

 見えないくらい小さいなんて素敵じゃない

 か。

 

 と、心でダニを尊敬していたら白猫ちゃん

 が、

 

「ふふっ、一目惚れかー。わたしはしたこと

 ないけどアリなんじゃない?」

 と言いながらニッコリして立ち去った。

 

 …

 

 こんな白豚との会話に付き合ってくれた…

 白猫ちゃん。

 

 ありがとう。

 

 オレは心がホカホカとした。

 布団から朝出たくないヌクヌクの気分と同

 じ感覚に陥っていた。

 

 はぁ〜。

 ずっとこのままヌクヌクしていたい。

 

 おててを握りしめて空を見上げた。

 

 はぁ〜。

 お空さん。

 キレイです。

 

 ドスン

 

「あ、わり」

「あー、うん」

 道路の真ん中でぼんやり空を見上げていた

 ら、同じ高校の人とぶつかった…。

 

 一気に現実に引き戻された。

 

 …さ、遅刻したら大変だ。

 

 行きたくないけど、脳みそが学校に行くよ

 う足に命令しているので仕方なく歩いた。

 

 席につくと…

 新しいクラス。

 そして新しい仲間。

 

 このクラスで一年間過ごすんだ。

 とりあえず友達を作ろう。

 

 隣の席の人に挨拶ーっと。

 

 

 ⁉︎

 

 隣いねーし‼︎

 もう着席してないと遅刻だよ⁉︎

 休み⁉︎

 

 ってか、オレ一番後ろの席…。

 なんか離小島感半端ねー…。

 

 なんで隣のやついねーんだよっ‼︎

 

 オレは誰だか知らない隣のやつを心から恨

 んだ。

 

 オレを離小島の刑にするなんて…。

 な、なんて奴だーーーっ

 

 続く。

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