和子と平の3分クッキング
@tonari0407
では、『世界平和』を作ってみましょう♪
~♪~♪~♪~
【和子と平の3分クッキング♪】
「みなさん、こんにちは!
「今日も美味しいの作るから楽しみにしとってな」
「和子先生、今日のメニューは何ですか? 」
「今日はみんな大好き『世界平和』や! 」
「おおっ! 願っているのになかなか叶わない夢のようなメニューですね。楽しみです」
「難しそうに思えるけどな。誰にでも作れるからやってみてなー」
「頼もしいです! では、材料をみていきましょう」
【材料】※平和な世界32個分
・色とりどり様々な生き物の粉――200g
・夢と希望のたまご――3個
・豊かな生命の水――600cc
・ヌメヌメねとねとの欲望の塊――160g
・無駄に細くて長い固定観念――2本
・他者を押し退ける油っぽい本能――20g
・血に濡れた悲しい思い出――1g
・温かい心のソース――かけすぎは禁物
・遊び心の粉末――たっぷりが和子流
・熱い想いに揺れ動く乙女心――揺れすぎない程度
・世界を熱狂させるオイル――疲れすぎないように
「おお、なんだか不思議な材料ですね」
「そやろ、これが『世界平和』を作るんやで」
「でも、何だか汚いものやいらないものもあるような気がしますけど? 」
「アホっ! 醜いものがあるから綺麗なものがわかるんやで」
「なるほどぉ」
「ほなっ、早速作るで」
*
【①欲望の塊をぶつ切りにします】
「うへぇ、先生。僕これ触りたくないです。ネトネトしてますよ」
「つべこべ言う前に切らんかい! やってみたら案外大丈夫やから」
「うう……わかりましたぁ」
【食べやすい大きさにしましょう♪】
ドスっ、ザクっ、ザクっ、シュババババっ!
「はぁはぁ、やりました。どうですか? 先生」
「うん、まぁこんなもんやろ。欲は活力になるけど、大きすぎるとあかんのや」
*
【②固定観念を小口切りにします】
「あっ、こいつらなら大丈夫そうです~」
「適当に切ると繋がったままになるからちゃんと切るんやで? 」
トン トン トン
……ぴろーん
「あっ、本当だ! 案外しぶといですね。細いくせにちょこざいなぁ」
「かしてみぃ」
トトトトトトトトトトトトトッ!
「おおっ、早い! そして切れてる」
「こういうのは反論される前に素早く一刀両断や」
*
【③悲しい思い出をみじん切りにします】
「ぐずっ、先生。何だか切る前から悲しくなってきちゃいました。真っ直ぐ見られないです」
「ちゃんと見なあかん! 悲しい過去や歴史から人は学ぶんや。なかったことにしたらあかん。でも二度と同じ過ちをしないように、思いを込めて優しく切ってあげるんや」
「先生、やってくださいよ……」
「ダメや。これは若いあんたがやることに意味がある。平がやらなあかん」
「……わかりました」
サク サク サク サク ぽとりっ。
「うう……できました」
「よぉ、頑張ったなぁ。辛くても目を背けなかった。えらいで」
*
【④生地作ります。粉、たまご、水を混ぜましょう】
「先生、夢と希望のたまごって割っていいもんですかね? 」
「割らないと夢は叶わんやろ? 勇気を出して1歩踏み出してみなあかんのや」
「壊しそうで嫌だけど……えいっ! 」
コンコンコン、ぱかり
「おおっ! ツルルンとしてキレイです」
「さっさと次もやで。割って水と粉と一緒に混ぜるんや」
「はぁい」
【ダマを作らないようにね★】
ぐるぐるぐる~
「生き物の粉と、生命の水と、夢と希望のたまごって混ざるとこんな色なんですねぇ」
「そや、生きるって混沌としてて複雑で、目が離せないような魅力があるやろ? 」
「はい! 何だか力が湧いてきます! 」
*
【⑤世界平和専用鉄板を熱して、油を引きます】
「なんだか、ワクワクしてきました。『世界を熱狂させるオイル』を引きまーす! 」
「バチバチわしゃわしゃ暴走しない程度にな。何事もほどほどが肝心や」
ジュゥ……。
「熱くなってきたゼっ」
「平、落ち着け。ドウ、ドウ」
*
【⑥本能や欲望などの具材、生地を鉄板に流し込みます】
「ここは共同作業や。平、手分けしてやるで」
「わかりました! 一緒にやると楽しいですね」
「やろ? この過程自体も世界平和には必須なんやで。『みんなで楽しく』や」
「よーし、やるぞぉ」
どぽぽぽぽぽぽぽ
しゅぱぱぱぱぱぱ
ジュウウウウウウウウウ~
「はははっ、戦争の元の攻撃的な本能もフヨフヨになるでー」
「あっ、先生。1つの世界に、欲望が多めに入っちゃったのがありました。取ります? 」
「ええんや。その世界はウハウハな当たりや。嬉しいやろ? 」
「それもそうですね~」
*
【⑦焼けてきたらひっくり返します】
「もういいですかね? 」
「良さそうやけど、ちゃんと世界ごとにわけるんやで? 」
「わかってますって! 」
カッカッカッ、クルっ
「へっへへ~。上手くできたっ」
「おお、意外とうまいやないか。裏表はどっちも見なあかんからな。何事もひっくり返すのは大事やで」
「でしょ~? 僕は和子先生のアシスタントですから」
「頼りにしてるで。ほな、じゃんじゃん世界をひっくり返すで! 」
「はい、先生! 」
*
【⑧丸くします】
「平、ここが世界が平和になるかの大事な分かれ道や。角があると傷つく人がおる。みんながまぁるく手を繋げるように思いを込めてやるんやで」
「わかりました。僕、戦争とか、罪のない人が死んでいくとか嫌なので心してやります」
くるっ コロっ KURU くるりっ
「ふふっ、まんまるって可愛いですね」
「やろっ? 可愛いは正義や」
*
【⑨焼き色をつけます】
「さぁ、最終段階や、まんべんなく平等に、気合いを入れてこんがりさせていくで」
「はいっ、仲間外れなしですね~。了解です!」
ジュウウウウウウウウウ~
クルクルクルクル コロコロコロコロ
「ああ、どの世界もとても良い色ですね」
「そや、どれもみ~んな最高やろ? 」
「はいっ! みんな一番です! 」
*
【⑩仕上げのトッピングをします】
「『温かい心のソース』と『遊び心の粉末』『揺れ動く乙女心』をかけるんですね」
「ソースはかけすぎ厳禁やで。過剰な思いは相手に負担やからな。バランスが大事や」
タラリっ、フリフリっ、ぱさ……
「わかってますよ~。って先生は遊び心をかけすぎじゃないですか? 」
「オモロイのが一番やろ? 」
「世界本体が見えなくないですか? 」
ほかほかほかほか ユラユラユラユラ~
「うわぁ、熱で乙女心がユラユラ揺れてますね」
「平、浮気したらあかんで! しばくぞ」
「ちょ、なんで僕に怒るんですか? 僕は先生の娘の和美ちゃんにゾッコンですよ」
【完成です。視聴者に見せてください! よい子が観ているので、ふざけずにちゃんとやってください! 】
「……ってすみません。皆さんできました!これが『世界平和』です。とっても丸くて熱くて、でも中はトロッと優しい理想的な世界になりました。途中涙する場面もありましたが、こんなに簡単にできるなんて……ってせんせいー!!! 」
「ふご? (なんや?)」
「せっかく大事に作った世界平和を食べないでくださいよ! ああ……世界がぁ」
【世界が3つ滅亡した】
「ふごごごご(熱い内に食べるのが礼儀や)」
ばく ばく ばく ばく ばくっ
【世界がさらに5つ滅亡した】
「あー! 」
「もごご(平も食べな)。もごっごご(うまいから)」
「そうですね……。世界平和も冷めるとまた刺激を求めて戦争始めるかもしれませんし。では、いただきます」
フゥフゥ……ぱくっ
「ん~! 熱いけど最高に美味しいです!思わず笑顔になっちゃいますねっ」
「やろっ? 笑顔が一番や。そして、人と仲良くするには美味しいものを一緒に作って食べたらええんやで」
「世界平和パーティーですね。先生、一生ついていきます」
「よっしゃ! まかせときっ」
「じゃあ、視聴者の皆さん最後まで観てくれてありがとうございました~。みんなも是非作ってみてね!」
「ぐもっ!(うまいでぇ!)」
【よい子の皆さんは食べながら話さないようにしてくださいね♪】
~♪~♪~♪~
【○お○し○ま○い○】
和子と平の3分クッキング @tonari0407
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
tonariのへっぽこ実験録/@tonari0407
★63 エッセイ・ノンフィクション 連載中 152話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます