❅11. サマエルのその当たり前がどれだけ僕を救っているかなんてきっとこれっぽっちもわかってはいないんだろう
中庭を抜けた先の屋根の上、僕らの
空は青く
お
ふと思い立って隣のサマエルへ
「なぁ、サマエル。」
と声を掛ければ
「なんだ。」と小さな声がかえって来た。
それでも、返事はするくせに目を開けようとしない所がサマエルらしい。
「サマエルは俺のこと、
僕の言葉に少し眉を寄せたサマエルが
「おまえはミハイル。俺は俺の意思で呼ぶ、それだけだ。」
そう言って身じろぐ。
「あのさ、サマエル…。その…嬉しかった。」
恥ずかしさに少しどもってしまった僕をちらっと見て「なにが。」なんてサマエルは言う。
その視線はすぐ伏せられて隠れてしまったけど。
「僕を見てくれて。」
「別に。おまえが俺の前にいつもいるだけだ。」
「でも、嬉しかったんだ。初めて会ったときかr…あっ!!サマエル!!」
急に声を張り上げサマエルを
「俺の
なんて
「サマエルは優しいね。」
はぁと呆れ顔で「おまえは俺を買いかぶりすぎだ。」
なんてまるでなにごともないかのように言ってのける。
そんなところに僕はいつも救われている。
サマエルのその当たり前がどれだけ僕を救っているかなんてきっとこれっぽっちもわかってはいないんだろう。
サマエルはいつも買いかぶりすぎだという。そんなことなんて少しもないのに。
「で、なんだ。」と物思いにふける僕を現実に連れ戻した。
「あ、そうだ。あのさ、僕…まだサマエルの
「おまえのはミハイルが勝手に
「んー。そう、そうなんだけどさ!!」
「だめだ。今は。」
「え、なんで教えてよ…え?今は?、じゃあいつかは教えてくれる?」
「まぁ、その時が来たら。いつか。」
「うーん、それなら今は我慢する。だから、絶対教えてよね。」
「いつかな。」
そよいだ風がサマエルの
「絵画みたい。」
思わずつぶやいた僕にサマエルはもう一度
「買いかぶりすぎだ。」と言って小さく鼻をスンと慣らした。
❅ルナティックエンメモア Lunatic aime moi -紅紫藍― ❅藍堂翔琉 kairi×kakeru @kairikakeru2puls3equal5
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